-まよねーず。「あの娘のクラスはAV科」ティーアイネット ISBN:9784887744899
話◎ 抜○ 消小 総合○
AV女優があこがれの職業となった近未来、女優養成課程へ入学した少女たちは厳しい授業に耐え夢に向かって邁進長編全5話。キテレツな設定をまるでなんでもない日常であるかのごとく淡々と描き出す唯一無二の作風でひたすら我が道を歩むこの作家通算6冊めにしてこの名義での5thコミックスだ。
多少なりともエロ漫画をたしなんでいる人ならば導入にせよ濡れ場にせよある程度アダルトコミックとしてのフォーマット的なものを想起することができると思うが、まよねーず。の手になる作品はおよそそうした定石からもっとも遠いところに位置する。投げるタマ全部がナックルボールのような超弩級の変格作家はしかし、これだけ安定して続刊が出ているところを見ると自分だけでなくいろんなところに根強いファンが存在しているのに違いない。
プレーンであまり強く自己主張しないオーセンティックな一般青年誌調の絵柄はいささか味気なくも思えるのだけれど、それでも既刊に比べるといくらか艶っぽさが附加されてきたのかなとも思う。表紙の彩色はおそらく外注なのであまりアテにならないにしても、その裏側にある数コマの内容抜粋を参照しておおよそ中身の見当をつけることができる親切設計だ。しかしまあ内容的にはたぶん現代エロ漫画でも1、2を争うくらいキチガイじみててヴィレッジヴァンガード御用達になってもおかしくないのに、このサブカルに媚びる気まったくなしの絵柄は頼もしいというかもったいないというか……。
前単行本「便器街」が中編と1話完結のミックスだったのに対し、今回はそれ以前の作品集のような1冊まるまるの長尺ものへと回帰。ただそれら一連の肉便器クロニクルのように圧倒的なバックボーン設定で読ませるのではなく、世界観の開示は冒頭で軽くすませといてあとはひたすら学園の芸能科、通称「AV科」に入学した少女たちのキャンパスライフを追っかける。登場する生徒たちの集合写真的キャラ紹介が冒頭にカラー見開きで載っていて、読んでる最中「これ誰だっけ」と振り返るのにはなはだ便利。
そんなわけで彼女ら新1年生たちがAV女優になるための実習をみっちりこなすさまをダイアリー形式で追いかけるのが物語の基本パターン。授業というのは実質的にはAVの撮影現場そのもので、それこそ作品内のメイキングヴィデオが延々続いているかのような趣。フィルム風のカットバックが随所に挿入されているのもそうした雰囲気作りにひと役買っている。
読者にとってのエロシーンというのはすなわち物語のなかの実習でありヴィデオ撮影現場であるわけだが、冒頭の女優インタヴューにはじまりノーマルファック/企画もの的プレイやらロケハンっぽい映像まで全生徒のえっちぃ場面が順繰りに堪能できる仕掛け。描写に多少の濃淡があるとはいえ総勢15人のヒロインをさばくのは容易でないが、カットバックの連発によりひたすら性行為そのものを見せる手法を採ったことで濡れ場密度を下げない工夫がグッド。このへん変にがんばってストーリーらしきものを組みこもうとすると絶対破綻するので今回のアプローチは賢明。
ロリロリしたのからすっかりオトナなのまで、ちっぱいからビッグバストまで多種多様なJK1年生に容赦なく男のイチモツが差しこまれ、カメラの前でその痴態があらわにされる。製作ソフトの趣向によってはガチレイプだの緊縛プレイだの異物挿入だの首締めだのハードな試練に直面し少女たちはときに涙しながらも夢に向かって必死に腰を動かすのだ。ボロ雑巾のように扱われ乱暴に精液をまき散らかされつつ今日も撮影終了の合図が学園に響きわたる。
この作家の描くものはまいどそうなのだが、今回もやってることはハードコアなのに描写には凌辱系エロ漫画特有の暑苦しくウェットな空気など皆無。ゆえに予備知識なしでジャケ買い/タイトル買いした人は当初とまどうこと間違いなしなのだが、読んでいるうちに投げやりなようでいて妙に誠実なこの独特の物語世界がクセになってくることだろう。従前の肉便器シリーズほどには衝撃的なシチュではないがそのぶん我々の日常生活との親和性もいくらかはあって、まよねーず。入門にはあんがい好適かも。ズラリと並んだ新入生たちのなかでは、胸ないのを気にしてる風な長身ボーイッシュ女子・内野利世さんと、より美人さんな親友にコンプレックスを抱く三つ編みソバカスっ娘・植田睦美さんがマイ経絡秘孔直撃でございました。
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