-TANA「およめさまHONEY DAYS(上)(下)」茜新社 ISBN:9784863493902 ISBN:9784863493919
話○ 抜○ 消小-中 総合○
見合いの席でお互いの狂おしい性的願望を暴露しあったことから結ばれた2人は変態ラヴラヴ街道一直線表題作長編15話(上巻8話/下巻7話)&女性陣集合フルカラー漫画前後編&描きおろし番外編各1本。ありとあらゆるキチガイプレイに嬉々として挑戦しステップアップしてゆく主人公カップルを軸に男と女の幸せと変態について考察を深めてゆく一大セックス哲学全書は作者通算2/3冊めのコミックスだ。なお自分は2分冊の通常版を購入したが、そのほか上下巻がまとめてパッケージされ加えてえっちなヴォイス満載のドラマCDが付属する限定版が同時に発売となっている。
本作同様にベタ甘ラヴとアブノーマルファックとの過激なコンビネイションで度肝を抜いた処女単行本「キミの瞳に欲情してる」が刊行されたのが2008年のこと。けっして寡作の部類ではないこの人の新刊はその後いっこうに出る気配がなく長い年月が過ぎた。もうこのまま原稿は塩漬けになるのかなとなかばあきらめていたところ今年に入りようやくコミックス刊行の報で欣喜雀躍でございますよ。
いま風のアニメ/エロゲ絵をベースにセンスよく磨きあげた絵柄はたいそうスタイリッシュで、ことに妖艶な大人女性を描くとひときわ映える。もっとも若干頭身を下げたギャグ顔もじつはたいそうキュートで、個人的にはむしろ少し崩したくらいの絵がいちばん好きだったり。前作ではやや作画のばらつきが感じられたものだけど、今回は足かけ5年の連載にもかかわらず新旧のギャップはほとんど気にならず安定したクオリティだ。
このたび抜きキャラとして君臨するのは表紙に登場の新婚ホヤホヤおしとやか系和服おかっぱ童顔巨乳嫁(でも変態)・森沢春奈さんほか数名。愛する旦那さまに尽くしまくりの春奈さんはじめ、夫の仕事先の容姿端麗タレント(でも変態)やヒロインの恩師たる超絶デキる系女教師(でも変態)や学園理事長を勤める涼やかな美貌の義母(変態予備軍)などグラマラスかつあでやかなクールビューティたちが画面を彩る。
ストーリーラインは表題が示すとおりの夫婦善哉甘々仕立てであり、メインヒロイン春奈さんと彼女を熱烈に愛するハズバンド・雄二くんとのメイプルシロップ漬けなイチャイチャっぷりを詳細中継。しかしながらこの漫画が一般的な和姦ものと明確に異なるのがいたるところ大量にぶちこまれた変態要素だ。まず第1話から「女性のお尻を嗅いだり舐めたりしまくりたい」/「男性のお尻に顔をうずめ接吻してご奉仕したい」と秘められた性癖を開陳し、それが縁で結婚までこぎ着けたのちはもはや完全にリミッター解除してアブノーマルシチュをかたっぱしからお試し。物語の前半部なそんな2人がオナニー合戦に励んでは分泌物にまみれ体臭を嗅ぎまくりながら淫語ばらまき全部の穴をフル活用。
このまま気の触れたような行為をくり返す2人だけの性欲世界を続けてゆくこともできたのだろうが、上巻の途中あたりから物語にサブヒロインたちが参戦することでまた別の展開が開けることに。これは著者あとがきで述べられているとおり、第4話において通常の濡れ場をそっちのけにし触手やキモデブといった特殊性癖について雄二くんに存分に語らせるというトリッキーな展開を試みそれが読者に受け入れられたことによって想像力の翼を全開したことによる。春奈さん以外の女子に醜男嗜好や肉便器願望といったよりエキセントリックな性癖を割り振ることでさらにオハナシの変態ぶりに拍車がかかりいっそうエロシーンはハードかつアブノーマルに。
そんなわけでくり広げられるセックスは端整な美女たちがそろって下品きわまりないワードを散りばめ白痴じみたアクメ顔を浮かべながらのガチンコファックに終始。西洋彫像のごとく均整の取れた完璧ボディを大胆に駆使し、ときには縄でくくられたり身体中に落書きされたりと自身を存分に汚しながらバカみたいにちんこをおねだりし前後の穴をほじくられて絶頂する彼女らの痴態がはしたなくも美しい。愛する男の匂いに囲まれくっさいザーメンを大量に膣内に放たれて彼女らは心から安堵しおだやかなアトモスフィアに包まれるのだ。
科白でも地の文でもヴィジュアル以上に強く自己主張するテクストが横溢しており、とくに後半部はエロ漫画というよりは一種の愛の哲学アピールみたくなって少々暑苦しく感じるのも事実。しかしながらこの過剰なまでの熱量も含めTANAの得がたい個性が形成されているのだと思う。そしてすべての場面に通底するのはさまざまな価値観を認め互いを高めあうことを高らかに謳うストレートなまでの人間賛歌。自身後ろめたく感じていた変態性癖を想い人が真摯に受けとめ肯定してくれた喜びと感謝の気持ちをキャラクターたちがこぞって熱く語る光景を前にして、読み手としてはそれに全面的に賛同するのではなくても心打たれるものがある。
なにせ奇抜なギミックのオンパレードなので受容のハードルはけっして低くはないけれど、この異様なまでの熱気にあてられ読み進むうちにいつしか作者のメッセージが脳裡にこびりついて離れなくなることだろう。このご時世で修整もきつくはなっているが男性器側に比べまんこサイドは比較的配慮されていることでもあるし、もとより問答無用のストロングファックぞろいでもあり抜きツールとしてもはなはだ好適だ。登場する女性たちのなかではやっぱり主演女優たる春奈さんの清楚な出で立ちとえげつなさすぎるプレイとのギャップがたまらなく魅力的で大いに股間を使役。
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