2014-03-02

今週の頽廃芸術。

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク
-紙魚丸「QUEENS GAME」コアマガジン ISBN:9784864365970
話○ 抜○ 消中-大 総合○

想い人に性欲処理の道具として都合よく使われているヒロインはやがて華麗に逆襲を果たし前後編+女教師と男子生徒の純情ラヴ模様を同僚がおもしろ半分にアシスト前後編+独立短編5本+巻末おまけ漫画。シャープな筆致で描かれるエロティックガールズ&レディースが男どもを肉欲の罠へと引きずりこむ愛の隘路をクールにつむぎ出す作者最新刊は通算2冊めのコミックスだ。
アニメ/ゲーム系のポップな萌え絵にほのぼのエロスの組み合わせがメインストリームを張る現代エロ漫画界にあって、ソリッドな描線とクセのあるキャラメイクで異彩を放つ人。デビュー単行本「JUNK LAND」の衝撃から気がつくともう2年以上の歳月が経過したが、いまだにこの特異なテイストの流れを汲む同業者を誌上で見かけることのない、まさにワン・アンド・オンリーの存在。
このところ非エロの媒体でも執筆機会が増えているものの、成年誌での生産ペースをさほど落とすことなくコンスタントに良作を送り出している。いまは亡き当版元の「コミックメガストアH」を中心に2012-14年の間に執筆された収録作はいずれも陰影の処理をあまりトーンワークに頼らずに線画の微妙なニュアンスだけで立体感をかもし出すもの。それらは直近のものほど普遍的な美少女漫画絵から乖離した独特のアトモスフィアを内包していて、このあたり前作レヴュウでも評したような美大漫研的ノリがさらに濃くなったような。
ヒロインの年齢層はおおむねハイティーン~20代なかばといったところで、いずれもモンゴロイド特有のつり上がった目尻から放たれる鋭い眼光が印象的な娘ばかり。おっぱい描写は他のエロ漫画でよく見受けられる、目を疑うようなこんもり特盛バストではないものの、大ぶりではなくともスレンダー寄りの肢体から形よく張り出したそれはたいそう蠱惑的だ。この非常にえっちぃボディに精液注いだり注がされたりの得も言われぬお話たちがくり広げられるわけですよ。
作画の洗練もそうだが、キャリアの蓄積とともにいくらか変化があったのがストーリーテリングの部分。多感な世代の男子女子が突飛なシチュのさなか肉体関係を持つに至る青春りっしんべん系のポップなエロスがやや後景に退き、支配/服従、加虐/被虐といった性愛のダークサイドをえぐる系統の物語が出張ってきた印象。これについてはたとえば若干インターヴァルを空けて描かれた前後編形式の2作品、「いただき!生徒指導」(2012年)および「都合のいい彼女」(2013-14年)を比較するとわかりやすい。ともに男1/女2の奇妙な三角関係をフレームに据えることでは共通するのだがその読後感はまったく異なる。前者がコミカルに進行するなかで変則的ながらもオクテ先生&純朴少年の恋愛模様を甘酸っぱくつづるのに対し、後者では正式な彼女と満足なセックスができない男性主人公が奴隷扱いしていたはずの同級生にやがて欲望の生殺与奪を握られてゆくさまがシニカルに描かれるという寸法だ。この進化/深化は紙魚丸の作品世界をいっそうコクのあるものにしているが、同時にいくばくかのポピュラリティの喪失をも引き換えにしているように感じる。
それほど肉感的とまで言えないのに異様に淫猥な女体が入り乱れるエロシーンは割かれた分量以上に密度の濃いもの。また多くの物語においてヒロイン側が行為の主導権を握り、日常のクールな表情をかなぐり捨て発情しきったエロメスどもがみずから男子の股間にまたがり勢いよくザーメンを搾取する女性上位ファックを展開する。果てなく続く性戯ののちひとしきり肉欲を満たし妖しい笑みを浮かべる女たちと、欲望を充足させたはずなのに疲労を色濃く残す男たちの対比が印象的。
自分から着衣をはだけアンダーウェアを除けて彼女らは挑発的な視線を向けたままプレイの開始を宣言する。たちまち膣内深く男根を飲みこみ柔肉でキツくシャフトを締めあげながら嬌声を発するヒロインズの痴態がたまらなくいやらしい。乱暴に腰を使い激しく粘膜どうしをこすりあわせながら幾度となく射精に導きザーメンを大量摂取だ。なん度めかの奔流を子宮に迎え入れたその刹那いよいよ恥も外聞もなく咆吼し女たちはファイナルアクメ。
いっそうチンピク度のアップした作画をスポイルする凶悪モザイクはどうにもうらめしく、またチキンハートな俺はあんまりにも女の子のサドっ気が強すぎる一部の作品できんたまが収縮してしまうものの、冷酷無比なツリ目っ娘に貶められののしられたい真性Mな貴方にはむしろ自信を持ってお勧めしたい。これまでのエロ/非エロ兼業作家の例にもれずこの人も徐々に成年誌から一般誌へと比重を移していくことになるのだろうが、もうしばらくはえっちな本でこの唯一無二の個性を堪能したいもの。女子Sもの苦手な自分としては比較的甘ラヴ寄りな、日焼け跡もまぶしい従姉と夏の夕立のなか初体験「夏のバス停」が今作中の最シコリティ物件。

0 件のコメント:

コメントを投稿