-ハッチ「乙女のわれめ」ヒット出版社 ISBN:9784894656284
話○ 抜○ 消小 総合○
ドラッグがきっかけで妹への想いを自覚した兄は禁忌ゆえに甘美な肉欲の罠に煩悶し……中編4話+独立短編3本。愛と欲望に翻弄される登場人物たちの弱さ/醜さ/情けなさなどマイナス方向の感情を容赦なく暴き立てるヒリヒリした神経戦に読者の心まで浸蝕される凄惨そのものの作者最新刊は新作単行本としての11冊め、総集編まで含めての第12弾コミックスだ。
ソリッドでドライな描線でもって性愛のダークサイドを克明にえぐり出す独特の作風で業界に確固たる足跡を残している。現在では「COMIC阿呍」にすっかり腰を落ちつけ安定したペースで作品を量産。去年の8月に上梓された前単行本「いもーと未成熟」から1年経たずに本作の発売と、ここ数年ではもっとも短いインターヴァルでの新刊リリースとなる。
直近の既刊と同様、登場するヒロインたちは10代前半~中盤あたりのスレンダー少女が中心。今回はめずらしくサブで巨乳お姉ちゃんが投入されている話もあるが、基本的にはつるぺたスキー御用達物件といえよう。もともとが硬質のタッチだけにちびっ娘を描かせるといっそうその肉づきの薄さが強調されてなんともヤバげ。一時期は顔パーツが末端肥大ぎみのフリーキーな作画になってて少々心配したけど、そのへんは往時よりだいぶ矯正されておりホッと安堵。
そんな彼女らが直面するストーリーたちは、いずれも重苦しいバックグラウンドを背負ったやりきれない愛欲の隘路。明るくオトすお話ですら不穏な設定をはさみこむので読後落ちつかないことこのうえない。ましてや今回メインコンテンツ扱いの中編「SexG」のようにストレートな禁忌の物語では彼ら彼女らの心の葛藤がモノローグで綿々とつづられ、読んでるこっちまですっかり鬱屈すること必定だ。また明確な悪意を持ったキャラクターを脇にぶちこみ主役級の人物に仇なすドロドロした展開が多用されることでどんよりした空気はさらに色濃く。コンビニ誌などでは徹底的に隠蔽されるような、こうした恋愛のネガティヴな部分をむしろ意識してピックアップし語り倒す手法がハッチ漫画の最大の特徴であり、このひりつくような感触を忌避するかむしろエンジョイしてしまうか、読み手次第で判断の分かれるところだ。
激しく乱高下する登場人物たちの感情とシンクロするかのごとく、エロシーンもまたハードかつ刹那的なもの。年端もゆかぬアリスたちが無理やり性の快楽に目覚めさせられまだしちゃいけない歓喜の媚態を浮かべるさまがなんとも蠱惑的だ。滑らかなたてすじへゴリゴリ大人ちんこをねじこまれて恥も外聞もなくハートマークをまき散らしよがり狂う幼女の苦痛とも愉悦ともつかぬイキ顔がたまらない。
兄やら父やら禁断の相手にその身を捧げ幼い子宮へシャフトを突き立てられて彼女は顔をしかめ歯を食いしばってこみ上げる衝撃に耐え続ける。やがて快楽へと変わるその感触に未発達の肢体をよじらせて日本語にならない雄叫びを発するさまがいっそう勃起中枢をハードヒット。愛する男の身体へ全力でしがみつきながらひときわ長く咆吼するヒロインのちびっ娘まんこの最深部へ熱い飛沫を叩きつけて狂騒の性宴にようやく終止符。
いつもながらにカラー表紙と中身のモノクロ原稿とでは印象にギャップがあり、また帯のわりかし能天気なキャッチコピーからは想像もつかないヘヴィな物語展開はある種偽装表示のようなもの。ゆえにこの作家へ初挑戦の際には店頭見本チェックを全力で推奨するが、ひとたびこのハードボイルドなハッチワールドを受容できたならすっかりハマること間違いなし。明るく楽しくの萌えエロ漫画みたく爆発的に売れることはないかも知れないが(作者さますいません)、それとは対照的なこの作家の描くものが一定のセールスを記録しずっと単行本を刊行できているという事実に頼もしさを感じる。オハナシとしてはやはり冒頭中編のディープな心理劇が秀逸だが、久しぶりにこの人の描く巨乳女子を堪能させてもらった変則NTR風巻末短編「揺れる2段ベッド」がマイちんこ的にはベストでございました。
0 件のコメント:
コメントを投稿