-ポン貴花田「たわまん」少年画報社 ISBN:9784785952846
話△ 抜△-× 消大(詳細性器描写なし) 総合△
女性入居者ばかりのマンションに越してきた童貞主人公は数々の誘惑に耐えつつ美人管理人さんとの愛を育んで……表題作長編全8話+疎遠になっていた幼なじみ男子女子はようやく互いの気持ちに素直になり恋愛成就前後編。マークなし。とびきりキュートなヒロインがドエロく乱れる光景を描かせたら天下一品のこの作家最新刊は抜き物件としての2014年度初お目見えだ。
ときおりはガチ成年向け単行本も出すものの、基本的にはコンビニ売りのライトH媒体を中心に執筆活動を続けている。とにかく多産なのといくつも存在するエロ/非エロの境界線上に位置する作品の処遇に困り冊数カウントはやめてしまったが、たぶん総計だと30冊以上に達しているのではなかろうか。いちおう本番行為の一部始終があるものをうちのブログでは俎上に載せており、そうしたアイテムとしては去年11月にエンジェル出版より発売の前単行本「女子アナでもいーですか?(3)」に続くもの。当レーベルの刊行物としては2012年6月にリリースの「ネトリ×ネトラレ」以来およそ2年ぶり。
たいへん訴求力の高いアニメ系の絵柄は年々キュートさを増しており、このごろではいまだオールドタイプのエロ絵が珍しくない慎太郎シール誌の執筆陣のなかでむしろ異質ですらある。ふつうに萌え方面で活躍しておかしくないこのタッチでマークなしの限界に挑戦するハードファックにいそしんでくれるのだからありがたい限りだ。もっとも後述するように本作は必ずしもそのパターンに合致するものではないのだけれど。
本文中に収録作の初出の明記はないが、いずれもこの版元のライトエロ誌「ヤングコミック」掲載のもの。ただ同誌はここ1年あまりの間になん度もリニューアルをくり返し、そのたびに誌面の方向性がブレてエロ度が乱高下するという悲惨な状況になっていた。こちらの単行本にもその影響が現れ、ストーリー展開のなかにハッキリと刻印を残している。
巻末収録の前後編「最上階のきみと最下階のぼく」の方が表題作より初出は古く、ヤンコミが慎太郎シール誌の形態を保っていた最後のころの作品だ。その後に連載開始のタイトル・チューン「たわまん」第1話の時点で同誌は「ヤングコミックチェリー」と改題して青いシールなしのエロ抜き雑誌へチェンジ。ところがこれが不評だったのかほんの数か月で再度本番OKとなり、誌名もいつの間にか戻してシールなし/若干エロ度回復の現在に至る。この混乱のせいで「たわまん」は全8話の前半/後半でずいぶん趣の違う2つの物語に分裂してしまった。
巻頭の表題作と後半の前後編のいずれも、ストーリーラインはポン貴花田得意の明朗快活ラヴコメ。ちなみにこれら2連載作のヒロインは実の姉妹という設定が附加されており、作品世界は密接にリンクしている。そこに比較的高濃度の濡れ場を絡めてゆくのがこの作家のスタイルなのだけれど、元来エロ薄めだったヤンコミの誌風に合わせ、他社の物件より行為はおとなしめ。さらに「たわまん」の方は前述の事情で前半部は少年誌のお色気担当漫画よりエロ度の低い、本番抜きのラッキースケベしかないという信じがたい事態が生じている。本誌が急きょ方針を元に戻した後半部ではヌルエロとはいえちゃんとセックスが最後まで描かれているのだが、もし前半の調子が最後まで続いていたとしたら購入しても今回こうして記事にせず単行本をお蔵入りさせていたところ。
このような事情がありポン貴花田作品としては実用性が心もとないことになってしまっているけれど、それでも童顔巨乳ヒロインが美麗おっぱいを振りまわしアンアンよがりまくる濡れ場はなんとも眼福。ハイティーン/20代なかば設定の2作品ヒロインのいずれも、ほおを上気させ瞳をうるませながらゴリゴリまんこ貫かれイキ狂う光景のなんとも扇情的なことよ。性器修整を必要としないほどにちんこまんこを隠蔽するアングルばかりで正直ストレスはたまるのだが、シメにたっぷり精液注入されて全身を打ち震わせイクイク連呼する際の絶品アクメフェイスでどうにか相殺。
せっかくの紹介記事なのにウラの事情の記述が多くなってしまったが、それでもこの連載は途中でエロリミッター解除になっただけまだマシな方。抜き用とも一般漫画ともつかぬじつに中途半端な状態で不完全燃焼に終わらされたいくつかの作品たちを思うと、ヤンコミの誌面刷新は近年まれに見るレヴェルの大愚行だったと言わざるを得ない。現在他社ではいつもどおり高水準のエロが展開された連載を継続しているので、次回単行本こそはまいどおなじみガッツリちんこをしごけるポン貴漫画を期待しよう。
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