2014-08-23

今季のレジェンド・ユニフォーム。

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-なめぞう「なめイキっ!」久保書店 ISBN:9784765935715
話○-△ 抜△ 消大 総合△

浴びただけで即発情の性感スプレーを武器に童貞脱出を図る主人公は悪戦苦闘長編120P+女の子の完熟ボディで育てた野菜はお味も絶品で……長編60P。卓越したアイディアとスピーディな展開でバカエロの大地を疾走する作者最新単行本は今年に入って2冊めのコミックスだ。
平成に入ってすぐにデビューを果たし一時代を築いたのち看板を掛け替えて一般漫画でも活躍。いっとき名前を聞かなくなったと思ったらゼロ年代なかばからは再度成年向けに復帰して息の長い活動を続けている。エロ漫画業界的にはいちど消えた作家がカムバックしてからこれだけ長く執筆しているのは他にあまり類例がなく(スポット参戦程度ですぐエロに戻ったのち長らく描いてる人はわりと多いのだけれど)、思いつくところだとせいぜい亜麻木硅くらい?
厳密な意味での前作に相当する今年4月刊行のマークなしエロ「煩悩★インビジブル」(竹書房)はうかつにも見逃しており未購入なのだが、今日書店の平台で発見したこちらはすぐさま確保しさっそく一読。当ブログで評価の俎上に載せるのはもうひとつ前、2012年に出たガチ成年物件「舐乳(なめちち)」(サン出版)以来のことだ。
90年代当時のオーソドックスなアニメ絵だったデビュー直後から一転し異様にクドい青年誌調のタッチへ変貌した非エロ用名義時代を経て、現在では意外なことに萌えテイストを適宜取り入れたそれなりにいま風な絵柄へとモデルチェンジ。妙に泥くさい野郎キャラたちに往年の筆致の面影は残るものの、かつての彼の作品を知る人がブラインドテストで現在の絵を見せられたらけっこうな割合で別人のものと誤答するのではなかろうか。その豹変ぶりを批難する向きもあるだろうけれど、一部の「変わらないこと」がウリになる作家以外がどんどん新陳代謝の進む読者層に対応するためにはこの変化は必然だと思う。
自社の新作エロ漫画メディアを持たなくなったこの出版社はさまざまなルートから版権を買ってくるのだけれど、多くの場合は初出の明記がなく執筆媒体がわからない。ただ作者ブログの記述からは現在携帯配信向けのお仕事中心のようなので、こちらもおそらくWEB上で発表されたものと推測する。変形コマがなく直線だけで構成された画面や淫語がらみの伏せ字がやけに多い科白まわしなどケータイ漫画ゆえの特徴があるのもその印象を補強。
本作コンテンツの内容は大まかに2パートで、前半の長い方がボンクラ童貞主人公のコミカルな女性遍歴「即イキ!!性感スプレー むずむずコカン噴射」、後ろのは農村舞台のナンセンスギャグ「モギたてっ!マン耕栽培 女体ファームへようこそ」。いずれもシームレスにお話がつながった大長編の形態を採っているが、一般的な短編漫画の分量である20ページ程度の区切りで大まかにエピソードが分割されるので、たぶん初出時はバラバラだったのを単行本で一本に連結したのだろう。重たく暑苦しい一般誌時代の作品とは打って変わった軽快エロコメで、物語的コクは希薄なものの変にリキを入れず気軽に読み通せるのはよいところ。
一方で濡れ場は初出媒体のレギュレイション上の制約か少々もの足りない。長編の1本めは設定上やむを得ないとはいえ終盤までクンニや素股止まりで待望の本番まではさんざん焦らされるし、うしろの作品は女の子が集団でドーンと特盛なのはいいけれどそのぶん単品での掘り下げは弱め。そして両作に共通する弱点として、性器近辺がフキダシや擬音で隠れるか、露出するアングルになると完全に白抜きにされるかしてちんこまんこがまったく見えない大問題が。なかなかにキュートなヒロインたちが発情しすっかり乱れてアヘ顔さらすギャップはすばらしいだけに、肝腎のリアルファックがまともに描写されないのはなんとも残念無念。
2年前に購入した「舐乳(なめちち)」が思いがけず実用的だったのに比べ、正直こっちは本格抜き物件としていささか不満の残るデキ。せめて伏せ字の嵐となっているフキダシの中身を無修正にして一部でも性器の白塗りを解除してくれていればと編集に恨み節を言いたい気分。これでマークなし本として上梓されていたのならヒネリの利いたバカエロ作品として別の楽しみ方ができたのだけれど。ともあれ漫画作品としては一般誌のお色気担当ライクに凡庸な冒頭長編よりは女体からイチゴだのマツタケだの自然薯だの生やしちゃう2本めの方が断然おもしろく、このテイストでもう一段階ハードなエロスが読みたかった次第。

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