-大波耀子「ヨメビッチ」海王社 ISBN:9784796406635
話○ 抜○-△ 消小 総合○
誰とでも寝るオンナな奥さんだけど結局のところダンナのちんこがいちばん大好き(はぁと)表題作中編3話+独立短編9本。甘々ラヴからやるせない悲恋まで多種多様な愛のカタチを端整な筆致でつむぎ出す作者久しぶりの単独名義単行本は通算7冊めにして当社からの第3弾コミックスだ。
ここ数年は古くからの友人作家であるすずきみらと2人で漫画制作ユニット・「美波リン」を結成してすっかりそちらにばかり専心したように見え、この人のソロ活動はまったく視界に入ってこなくなってさびしい思いをしていたところ。しかしながら実際にはピンでのお仕事も欠かさずに続けており、本作にはその最新の成果が反映されている。
そんなわけで大波名義でのコミックスとしては2011年に本レーベルより刊行の「お嬢様と犬」以来じつに3年以上のご無沙汰だったわけだが、少女漫画ベースの繊細な作画は以前と変わらず華やかかつキュートでまったく眼福このうえない。もとより共同ペンネームの作品においても絵の方を担当していたわけで、昨今の美波リン漫画同様にこの人の最新型のタッチを存分に堪能できる。
単行本目次はおろか版元用意の内容紹介ページですらも収録作品群の初出明記がないのは困りものだが(やる気ねえ編集だなー)、大波耀子の熱烈なファンが作成したとおぼしき壮絶なまでに充実したお仕事履歴でそれらをフォローできるのは本当にありがたい。そちらを参照するに今回収録分の中心となるのはおおむね2010年以降に執筆されたweb配信のコンテンツで、その他雑誌媒体だとか果てはティーンズラヴものまで集積のごった煮状態だ。作品によりページ総量の多寡やエロシーン含有率がまちまちなのはおそらくそのせい。
ちんまいのから熟れきったのまでドンと来いのワイドレンジな年齢層を描きこなす人ながら昨今は奥さまやオネーサマなど年長系を手がけることが多く、それは本作でも共通。冒頭表題作をはじめ中盤までは人妻や勤労女性など人生の酸いも甘いもかみ分けた正しい意味での「オトナ」の魅力炸裂のアダルトさんがズラリと並ぶ豊島園だ。一方で後半からはおもにJKものが収録されているのだが、どういうわけか年少ヒロイン話はみんなページ数が短いので全体的にはやはり熟女寄りに感じてしまう。なおボディデザインはお歳を問わずボンキュッボンのグラマラス系でほぼ固定されており、景気よく揺れるビッグバストにキュッと締まった細腰、そこから一気に張り出すえっちなお尻という魅惑のラインが読み手の興奮を効果的に引き出す仕組み。
そんな彼女たちとくり広げるのはクローズドな2人だけの世界での多種多様な恋愛模様。ウブくてピュアなのから大人の駆け引きまで、スウィートなのからほろ苦いのまでアプローチは多彩で読者を飽きさせない。少々貞操観念を欠いていたり世間のモラル的には問題アリだったりの微妙な関係もあるのだけれど、いざ行為に突入すれば愛し合う2人の甘く激しい睦み合い以外視界に入らなくなるので問題ナッシング。ただ美波リン名義で見せるような禁じられた関係だの立ちふさがる障害だのといった大仰なギミックは本作だとあんまりなくて、必要最小限の設定を提示したのちはもっぱら男子女子の心と身体のやり取りに集中する印象。美波作品の原作/ネーム担当、すずきみらの手になる昼メロライクな波瀾万丈の展開もむろん悪くはないのだが(とりわけ長尺ものにはメリハリの利いたすずきメソッドがよくマッチしていてグッドなのだ)、こうした読切もしくは数話構成の小品には大波単独名義で見せるささやかでミニマムな語り口の方が明らかに合致。
1話あたり20数ページの比較的潤沢にヴォリュームが割かれたのから1本わずか8ページの小品まで分量がバラバラなぶん濡れ場のパワーにも格差が出る。とはいえフェミニンで愛らしいガールズ&レディースがドエロく変貌しては異様に扇情的なアクメ顔を臆面もなくさらけ出すという大波耀子漫画のエッセンシャルな部分はすべての作品において普遍的だ。ほおを紅潮させ随喜の涙を流しながら激しく腰を打ちつけ内奥をきゅんきゅん締めつけて精液搾取に専念するヒロインの痴態に我々の自家発電もはかどりまくること必定。
2人のなにげないやり取りからムードを盛り上げて成年指定のシーンへと自然に遷移。濃厚に舌を絡めあいお互いに敏感な部分をまさぐりながらささやくような口調でエロワードをもらす彼女の艶姿に興奮しきりだ。すっかり準備万端の蜜壷を押し広げゴリゴリシャフトをねじこみ摩擦運動をスタートすると小刻みな嬌声とともに雄大な2つの双丘が目の前でブリブリ揺れじつにエロっちい。いろんな液体まき散らしながらはしたなく身もだえし惚けたような表情で中田氏をおねだりするヒロインの子袋めがけたっぷりと白くねばつく飛沫をお見舞いだ。
いつもながらに華麗さとやらしさの両立した妙なるヴィジュアルに昔からよくなじんだ箱庭的世界のラヴ・アフェアがじつによく似合う。共同作業の醍醐味を否定するわけではないけれど、ことこうした短編群ではソロワークの方が持ち味が生きると思うので以後もなるべくなら並行して続けてもらいたいもの。あとはせっかくガチ成年仕事なのだからマークなしでは描けないティーンズえっちを中心にしてくれれば重畳きわまりないのですが。今作収録のものでは地味メガネJKさんがお顔に似合わぬ乱れっぷりを披露したのちたっぷりナマで中田氏されて「賢いあの娘とバカなオレ」と、年長ながらキュートな友人ママさんに対し懸想する少年の激しくも報われないラヴが炸裂「ごはんですよ。」がマイフェイヴァリット。
0 件のコメント:
コメントを投稿