-柴崎ショージ「とくべつな毎日」茜新社 ISBN:9784863495708
話○ 抜○-△ 消小 総合○
用事があると誘いを断った彼女の意外な姿を目撃した主人公だが結果的に2人の絆はより深まって……本編&後日談+頼られることに疲れ学校をフケた優等生ヒロインに彼氏もお付き合いし魂の洗濯本編&後日談+カテキョと教え子の恋愛ビギナーズはいまだ慣れない行為に1歩1歩チャレンジ本編&描きおろし前日談+無愛想先輩男子×マイペース後輩女子のほのぼのラヴ模様本編&後日談+部活を引退し卒業後を見据える幼なじみカップルは2人一緒の未来へと歩みはじめて本編&後日談+独立短編2本。なにげない日常のなかしっとり丁寧につむがれる彼氏彼女たちのほほえましくもほのかに甘いラヴ・アフェアをお腹いっぱい堪能の作者これが記念すべきファーストコミックスだ。
茜新社が2013年末に立ち上げた女子高生ヒロイン専門誌「コミック高」は同社の他雑誌執筆陣をベースに据えつつもいろんなところからスカウトの新人を続々投下した鮮烈なラインナップで非常にイキのよさを感じる媒体。そんななかのっけから頭角を現し一気に誌面での存在感を増した期待の新星のひとりがこの人だ。ほかの実績ある作家を差し置いて新規レーベル「TENMA COMICS 高」の第3弾に抜擢されたことからも期待のほどがうかがえようというもの(第1弾:まきお、第2弾:鶴田文学)。なお購入の際はリアル書店のみならず出版社公式サイト内の単行本情報より通販サイト等へリンクがあるのでそちらも参照すべし。
驟雨の暗がりのなか濡れたままの制服姿で体躯を寄せあう制服カップル、というおよそエロ漫画らしくないシックなイメージの表紙がいきなり目を惹く。おっぱいやまんこをモロ見せのカヴァーがむしろ主流派ななか、性器露出のいっさいないこの絵面はむしろこっちの方がキャッチーに感じるかも。中身のモノクロ原稿もまた一般青年誌系の清楚でクリーンな雰囲気で、陰影ギトギト肉感モリモリのセックスアピール過剰な絵柄とは対極の植物系テイストだ。まったくもって黄色い楕円マークの似合わないこの様相からどのようにエロく仕上げていくのかまずはお手並み拝見である。
全作JKヒロイン専科を謳うコミック高掲載作ばかりゆえ、必然的に登場する女の子もハイティーン制服っ娘オンリー。ブレザー/ベスト/セーラーとさまざまな形態のスクールウェアを自然に着こなす、全国どこにでもいそうな高校生が視界360度どこからでも飛び出してくる。マジメっ娘から遊んでそうなのまで彼女らの造形にはそれなりに幅を持たせつつも黒ギャルだのモデル系だの保守的な男性読者に引かれそうなタイプは注意深く排除するあたりはなかなか商売人。比較的童顔寄りのフェイスにほどよく発育したボディが付属の万人受けなデザインで、いまどきのエロ漫画としては若干控えめなおっぱいサイズが逆に独自性の源泉のひとつだ。
そんな彼女らとくり広げるのはこれまた普遍的な学園ラヴコメのヴァリアント。ただスクールライフを描くというよりはもっと主人公/ヒロイン2人の関係性にグッと寄せたクローズドな物語空間の構築が特徴的。巻末著者あとがきを読むに、柴崎ショージ作品においてはまずカップルの存在ありきでそこからお話を拡げていく感じの作劇であるようだ。いくらかNPCをからめつつも彼ら彼女らのダイアローグから愛の交歓へと関係を深めてゆく一部始終にひたすらフォーカシングし続ける。同級生/先輩後輩/JKと年長男性/幼なじみetcと恋人たちの関係性はさまざまだが、最終的にはどのカップルも物語冒頭以上に絆を強固なものとしよりディープな愛情で結ばれる濃厚イチャラヴを臆面もなく展開されて読んでるこっちはひたすらゴチソウサマですよ。
日常のなかのきわめて小さな愛の機敏まで緻密に描ききる作風だけに、それらの決着としてのエロシーンにはそこまで注力されてはいない。連続エピソードを含め1本あたり最低でも20ページ~多いので40ページ近くの大容量ながら濡れ場支配率は業界平均あたりといったところ。プレイ内容は特殊ギミック皆無で変態シチュの導入もないじつにオーソドックスなもので、加えてナマで膣内射精当たり前のこの業界ではめずらしくゴムつきセックスが多数派である。このあたりは高校生カップルのリアルな現状を反映する地に足のついた行為ともいえようが、そのぶん思いのまま中田氏三昧で大量のザーメンを子宮の奥底へドプドプ注ぎこみ続けるエロ漫画ファンタシーに慣れきった諸兄はいささか違和感を覚えるかも知れない。
好き合うどうしの2人なら灰色の毎日もつまらないルーティンもすべてが恋を深めるための素敵なサプライズ。セックスの意味は十全に知らなくともきつく抱きあい濃密なキスを交わすだけで本能がその先のめくるめく快感へいざなってくれるのだ。発展途上の肢体をまさぐられ敏感な部分を刺戟されて彼女は全身を貫く未曾有の衝動に体躯を振るわせまだしちゃいけないイキ顔をさらけ出す。未成熟な蜜壷へシャフトをねじこまれしいちばん奥を執拗に突き上げられるたび小刻みに震えながら甘い吐息をもらす彼女の痴態にいっそう興奮。両手を最愛の彼のガッシリした背中へと回しきつくしがみつきながら呼吸を荒げ昇りつめてゆくヒロインのJKまんこに熱い飛沫をお見舞いだ。
ほとんどがコンドーム着用を遵守しつつ射精する男子諸君の律儀さに好感を抱きつつも抜き的には一抹の寂しさを覚え評定を若干差っ引いたものの、本作のエッセンスは本番それ自体よりもそこへ至るまでの濃密で甘やかな2人の愛ランドを存分に描ききることにあるのでそこは納得。もしかするとリアル世界では喪われているかも知れない清楚で愛らしい女子高生たちと、そんな彼女らを優しく見守りフォローする健全安全好青年たる男性主人公たちとの清く正しくちょっとえっちな男女交際を大量摂取してぼくらもご満悦だ。早くも一般誌執筆を掛け持ちで開始しており今後どの程度この業界にいてくれるかわからないけど、しばらくの間はこのノスタルジックな性春グラフィティをたっぷりと投下し続けてもらいたいもの。中田氏大好きっ漢の自分はやはりナマで子袋にザーメンを満たすタイプのお話がグッと来て、さんざっぱら交合し続けゴムのストックが切れてもおかまいなしに精液注入をおねだりのドエロい後輩ちゃんがすばらしすぎる「あたたかいへや」と、現時点でも夫婦同然の幼なじみカップルが温泉旅行でしっぽりねっとりちちくりあいドロリ濃厚ザーメン放出の「これからの二人」が私的最愛物件。
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