2016-09-04

今宵の焼肉叙々苑。

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-氏賀Y太「絶望器官」三和出版 ISBN:9784776990901
話◎-○ モツ◎ 消小 総合○

行方不明の兄の消息をたどり秘密の地下闘技場へ足を踏み入れた少女は特殊な薬物を投与されて血まみれのバトルをくり広げ前中後編+両親の死後働きに出て生計を支える優しい姉に偏執狂的な愛情を抱く主人公は彼女を犯し隷属させるのみならず物理的に独占すべくある決断を……前後編+作者継続シリーズメイド漫画エピソード1本。抑えきれない破壊衝動そのままに凄惨な人体改造と流血のスプラッタワールドが横溢する作者最新刊はおよそ2年ぶりのコミックスだ。なお当該記事作成のためにググってみると本書はどうもアマゾン八分を食らっているようなので、代わりに書籍情報リンクはまんが王のサイトへ。
日本エロ漫画界の偉大なるダークマスターにしてグロ漫画家という存在へのパブリック・イメージを体現するこの作家も、世知辛い情勢ゆえか昨今は商業誌での活動をほとんど断念しもっぱら同人方面で執筆を続けている。紙媒体の単行本としてはじつに7年ぶりの新刊だった2014年刊行の前作「少女解剖学会」(当ブログでは未評価)も中身は以前に刊行したもののリイシューだったし、今回も収録されているのは雑誌掲載のものではなく薄い本で発表されたものだ。でも形はどうあれ一般的な流通ルートに乗る商業単行本として出てくれること自体がおそらくこのご時世では奇蹟に近いことであり、前単行本に引き続きふつうの書店で入手できる形で世に送り出してくれたことに感謝。
デフォ買いには至らずとも題材によってはときたま同人誌も購入させてもらっているので、氏賀Y太の古きよき少年漫画の流れを汲む作画がベースラインをそのままに上手いこと時代のトレンドを適宜附加して常にアップデイトを果たしているのをいつも感心しながら見つめている。二次創作もその時点で旬のネタを果敢にセレクトして、同時にもとの素材からちゃっかり最新の表現技法や女の子キャラの流行を取りこんでゆくさまはさすが長年この業界でサヴァイヴしてきた古強者の技。なお出版社公式サイト内の単行本情報ページで内容サンプルが確認できるので先にそちらを見たうえで購入可否を判断すべし。
当ブログで評価の俎上に載せるのは2007年に松文館より上梓された「女体解剖授業」以来9年ぶりのことで、帰宅後さっそく内容確認すると昔から変わらぬ流血沙汰の雨あられに気分は高揚。氏賀Y太漫画における箸休め的作品でいろんなところに顔を出す「まいちゃんの日常」エピソード1編以外は続きもの2本(前中後編1本/前後編1本)と、読み切りもしくは短編連作主体のこの作家としては比較的レアな構成だ。とくにもっとも多くの分量が割かれた姉弟相姦前後編「すず姉の墓」はヒキニート主人公の壮絶なクズっぷりと聖母のごとく彼を見守り尽くし続ける姉との対比が切なくもえげつなくて心にチクチク刺さる。すがすがしいほど人体破壊にフォーカシングしたもう一方の続きもの「暴発系三年生 森屋愛」が逆にジャンプ漫画的爽快感すらかもし出しているのとは対照的に性的執着のやるせなさ/業の深さをとことん掘り下げてゆくストーリーテリングは出色で、氏賀Y太作品のなかでもとりわけ臓腑をえぐるようなオハナシだ。ついに姉も自分も一体化しエクスタシーにひたっていた主人公を待ち受けるシニカルな結末はぜひみなさま自身の目でしかと見届けてもらいたい。
収録3編中で抜き物件として援用可能なのは実質「すず姉の墓」だけで、それ以外の作品はサーヴィスカットにもならない程度の裸しか出てこないので(内臓はイヤというほど露出しますが)ちんこを握るには不向き。そうはいっても別名義でスプラッタ要素いっさいなしのごくノーマルなエロ漫画も手がけるだけに、すず姉のキュート&ラヴリィな顔立ちに肉感的な肢体が組み合わさせるボディデザインはやけに煽情的で、彼女が最愛の弟にして本作主人公・ケンちゃんにさんざっぱら犯され休むいとまもなく精液注がれまくる光景が読者の勃起中枢をハードヒット。氏賀Y太漫画の常で彼女も無事ではいられず中盤以降はダルマ状態で延々ファックされることとなるのだが、それさえも彼女のたわわなバストやぷっくりふくらんだ秘部をむしろきわ立たせ交合シーンをいっそう艶やかに彩るのだ。眠る時間以外の日常すべてをセックスに充て脇目も振らず愛欲生活に没頭し互いの体躯をむさぼりあう2人の浅ましい情景を目の当たりにして股間の摩擦運動もはかどりまくること疑いなし。とはいえそれらは結局のところ服飾に過ぎず、最終的には大量の血漿が乱れ飛び肉片が四方八方へ飛び散るカタストロフへと収束するのでその前までにスペルマ放出をすませておこう。
ひさしぶりにじっくりと腰を据えてこの人の作品を堪能しブルータルな破壊衝動の臆面もない発露を目にして心身ともほっこり。この手の題材にもっとも理解のある出版社でさえもはや継続的に氏賀Y太作品を載せるのはタブーとなってしまっているらしき現状には嘆息するしかないが、ともあれ同人誌ででも作品を発表し続けてくれさえすれば本作のような商業単行本化のチャンスはあるはずで、次作以降のリリースにも大いに期待したいところ。収録作のなかでは抜きにお話に暴力にとひと粒で3度美味しい前後編「すず姉の墓」がやはり白眉で、すず姉の慈母そのものの言動やうって変わって淫猥な痴態をさらけ出す光景を前にすれば主人公の我執にも思わずシンクロしてしまうこと必至。

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