-佐伯「一日奴隷さん」ジーオーティー ISBN:9784814800087
話○ 抜○ 消小 総合○
麻雀に負け罰ゲームで同級生男子にご奉仕するハメになったヒロインはさまざまな性的調教を受けるうちいつしか身も心も隷属してゆき表題作シリーズ連作全11本(うち前後編1本)。めんどくさい性格同士の男子女子のラヴ模様をコミカルに描きつつSM要素満載のストロングファックを怒濤のごとくお届けの作者最新刊は黄色い楕円コミックスとしての通算2冊めにして当レーベルからの初見参だ。
この人の漫画を最初に知ったのは2011年にコアマガジンより上梓されたデビュー単行本「よわよわ」でのこと。成年向け作品としては作画/作劇ともやや異質なノリのそれはたしかなおもしろさといくばくかの居心地悪さを抱えたもので、遠からずこの世界からはオサラバするのだろうと感じたものだ。実際その後作者は一般誌へ活動の主体を移すことになるのだが、けっしてガチエロと絶縁したわけではなく同時進行でモリモリ描いていたことを長らく知らず、創刊号から定期購読しはじめた「comicアンスリウム」にあるとき本シリーズのひとつが掲載されたのを見て驚いた次第。
実際にはアンスリウムの前身である「キャノプリcomic」で掲載がスタートしており、初出情報を確認してみたら1本めが載ったのが2010年秋のこと。以後数か月おきにポツポツ発表されていたのがアンスリウム移行後は極端にペースが落ちて、最終話が雑誌に載ったのはこの新刊リリースの直前。そんな6年越しの大河シリーズとなったわけだがオーセンティックな少女漫画絵ベースの作画は思ったほどの新旧差はなく、比較的早い段階でヴィジュアルの基本は固まっていたのだと実感する(もちろん微妙な表情の描き分けやトーンワークなどは年々向上しているにせよ)。なお出版社webの単行本情報および著者公式ブログ内の発売告知記事でサンプル画像の閲覧が可能なので、店舗で見本を手に取れない環境の方はそちらを吟味したうえでの購入可否判断を。
この端整な筆致でもって花も恥じらうティーンから妖艶な大人女性まで幅広く描きこなす人だが、今回は大学舞台ということで表紙にも登場の巨乳JD・小橋伊織(こばしいおり)さんがほぼ唯一の抜き担当(後半部で一部サブキャラの乱入があるけども)。繊細なタッチでものされる頭身高めボンキュッボンのコバシさん(作中ではおもに名字カタカナ呼びされる)はいかにもエロ漫画の登場人物らしいあざとさ炸裂の造形でいながらガール・ネクスト・ドア風の親しみやすさも同居する不思議な雰囲気だ。この作家は以前にどこかで貧乳スキーであることを公言していた記憶があるのだけど、そう言いつつも魅力的なおっぱいヒロインを本作のほか一般連載でも続々くり出してくるのだからまったくあなどれない。
シリーズ第1作「いちにち奴隷さん」において仲間うちの麻雀で国士無双を振りこみ、大学の同級生・西森巧(にしもりたくみ)に奴隷としてまる1日仕えることとなったコバシさん。流されるまま服従を誓い処女を捧げてしまった彼女はサディスティックな調教を次々に仕掛けてくる西森に振りまわされつつも結局のところ毎回美味しくいただかれドMな本性を開花させてゆくのでした……というのが物語のベースライン。スチャラカな感じでお話が進行しつつもセフレ以上恋人未満な2人の前には山あり谷ありのドラマが挿入されて最終エピソード「そつぎょう? 奴隷さん」でようやくカップル成立に至るのだけど、シメはキッチリギャフンオチとエロコメの基本は外しません。突如はじまった関係にとまどい始終テンパリながらも次第に西森への愛情を自覚してゆくコバシさんと、彼女をまったき性欲処理の道具として扱いつつキメるべきところでしっかり漢を見せる西森との丁々発止のやりとりは漫画作品としての楽しさに満ちておりさすが一般兼業の貫禄だ。また物語中途で2人の前に登場しコメディリリーフとしても大状況を動かす役としても活躍する西森の叔母・向島沙耶(むこうじまさや)さんもいい味出してます。
SMティックな調教フルコースを全編にわたり展開の濡れ場は、従前のイメージを完全にくつがえす抜き特化のエグいもの。メイド服やスク水着たりの比較的マイルドなのから各種性具を用いての責め行為、しまいには緊縛目隠し拘束だのアナル開発だのエスカレートしてついには糞便たれ流すに至る本格的な人格剥奪エロスが堪能できる(さすがにスカトロは極度に脱臭清浄化された描写ですが)。プレイ内容それ自体もさることながらチクチクと羞恥をあおり牝の本性を自覚させる西森の巧みな言葉責めと、それに反応しどんどんとマゾの部分を引き出されてみずからの痴態に陶酔するかのごとく派手なイキっぷりを見せるコバシさんのイキ顔百面相がなんとも煽情的なのだ。
その暴力的なまでのビッグバストをわざと強調するような衣服を着けさせられ下腹部に異物を仕込まれて衆人環視のなか放置されながら刺すような視線に身もだえ。やがて2人だけの空間へ舞台を移すと辛抱たまらず彼女は自分から挿入をおねだりするが、ご主人さまはギリギリまで焦らしプレイを強行しヒロインの情欲は爆発寸前。さまざまな趣向で責め立てられ拘束された肢体をダイナミックに揺らしながらようやく怒張を迎え入れると剃毛済みのテラテラ光る粘膜をはしたなく濡らし全身をのけぞらせ激しく気をやる。汗と涙とよだれまみれで四方八方へハートマークをばらまきイキ狂う彼女に生涯隷属の言葉を誓わせながら最後にたっぷりとザーメンの奔流をプレゼント。
雑誌初出時は最終盤の一部しか読んでいなかったので単行本にまとまりようやく前半部からの流れを理解して波瀾万丈の調教ストーリーをガッツリ堪能。きっと恋愛成就後も毎日ヒドい目に遭わされ続けるであろうコバシさんの前途に幸あれ。同性読者の共感を徹底的に拒むような西森のド外道ぶりにはいささか違和感を覚えたものの(レディコミヒロインの相方なんかによくいそうなタイプ)、これもまた世間によくあるエロ漫画とは一線を画す佐伯ならではの個性の発露だろう。作者は現在出産直後ということで執筆活動を一時停止しているが、非エロ作品を含め前線復帰のあかつきには大いに創作の翼を拡げ我々を楽しませてもらいたい。
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