-あきのそら「笑顔を咲かせて」ワニマガジン社 ISBN:9784862694652
話○ 抜○ 消小 総合○
クラスメイト男子の熱烈な告白を受け甘やかな愛をはぐくむヒロインは同時に金持ち息子の慰みものとして身体をもてあそばれ続け……表題作長編5話+独立短編1本。恋する彼氏彼女のむせかえるように熱いメイク・ラヴをもっぱらつづってきた作者が初の長編作品でダークサイドの新境地へ果敢に踏みこむ最新刊は通算3冊めのコミックスだ。
つい先日デビューしたばかりの駆け出し漫画家だとばかり思っていたのに、気がつくと看板作家の証である掲載誌の表紙まで担当してまことに順調な成長ぶり。さらに商業活動と並行して二次創作の薄い本も精力的に刊行しており、まさにいま脂の乗りきった作家のひとりといえよう。作品産出ペースもきわめて順調で、去年夏リリースの前単行本「じゅんれん」からさほど間を置かずに新刊登場でまことに善哉。
おそろしく訴求力の高いキュートなアニメ/ゲーム系の絵柄はデビュー当初わずかに見られたデッサンの不安定さが解消されいっそうトーンワークは緻密になっていまや完成の域だ。収録作すべて当社の書店売り誌「コミックゼロス」で2015年以降に掲載の最新型あきのそらの筆致が本作では存分に堪能できる。とりわけお肌のもっちりと言おうかしっとりと言おうか吸いつくようなテクスチャ表現はおみごと。このへんはカヴァーイラストのようなカラー仕事よりモノクロ原稿の方でその独特の質感が顕著に現れるのでぜひ堪能していただきたい。疑うならいますぐ本屋で見本をチェックするか出版社公式のコミックス情報ページでサンプル画像を確認だ!
もとより作品の圧倒的多数がJKヒロインで占められる作家で、それは今回も同様。これだけの長丁場で抜き担当として君臨するのはタイトル・チューンの主演女優にして表紙を飾る黒髪セミロングセーラー服女子・早崎かなえ(はやさきかなえ)嬢と、巻末読み切り「ブーゲンビリア」のヒロインであり裏表紙に登場のド派手な金髪タテロールブレザーお嬢さま・麗華(れいか)さんのわずか2名だが、どちらも得も言われぬ魅力を放ちむやみやたらとエロい肢体を標準装備なので読者の不満は出ないはず。
物語解説の方は従来路線の熱烈イチャラヴ「ブーゲンビリア」はさて措いて(まあヒロインの強烈な変態ぶりが印象深くはあるけれど)、作者初のロングラン作品であり趣向もいささかパターンの異なるタイトル・チューン「笑顔を咲かせて」の方を中心に。8度にわたる告白の末ようやくOKをもらい同級生のかなえと付き合いはじめた主人公・匠(たくみ)は彼女と心も通じあい幸せいっぱいの日々だが、かなえは父の会社への資金援助と引き替えに金持ちの御曹司・九条(くじょう)に処女を奪われ毎晩のようにご奉仕を強制されているのであった……というのがオハナシの発端。基本的に彼氏彼女の2人だけの世界でその他は誰も介在しないベタ甘ラヴばかりを手がけてきたこの作家がいきなり間男を出し1話目からヒロインのまんこが攻略されたのだから、あきのそらファンの驚愕は想像に難くない。とりあえずイチャラヴカップル以外に別の男が登場するなんて絶対許せない!という純愛原理主義者はこの時点で回れ右するのをオススメ。
以後ストーリーは時間を行きつ戻りつしながら2人がいとなむ愛の交歓とかなえが受ける屈辱の調教劇という対照的な光景を訥々とつづってゆく。匠とのセックスでは笑みを浮かべ心底幸せそうに絶頂するかなえが、九条と相対するときは終始心を閉ざし唇を噛みしめるそのコントラストが印象的だ。作品タイトルでも象徴されるように、「笑顔」の介在がかなえの属する2つの世界を峻別するキーワードとして随所に現れてくる。身体は奪われ続け快楽に陥落しかかっても心は絶対に屈しないという強い意志は最後まで貫かれ、あきのそらはそのごほうびとして真摯に愛し合う匠とかなえの前にハッピーエンドを用意してみごとに物語はフィナーレ。このあたり構図的にはどうしてもNTRティックに見えるものの堕ちてゆくことはさせずにあくまで純愛を貫くという作者の姿勢は明確だ。なまじ各種宣伝や紹介記事等で寝取られ要素が強調されているけれど、作者自身がtwitterで「NTRとしては描いていない」と述べているようにそこは一線を画した別ものとしてとらえるべきだろう。
ハッキリとストーリー主導型ながら1本あたり20数ページから30ページ以上にわたる大容量を活かし濡れ場もたっぷり確保。あきのそら特有のもちもちした女体が画面狭しとはじけぷっくりまんこを惜しみなくさらけ出しながら大量の液体まみれの煽情的なファックがくり広げられる。愛してもいない男に豊満な肉体を蹂躙される九条とのプレイと、自分から積極的に快楽享受に熱中し執拗に膣内射精を懇願する匠との交合と、読み手側としてはその極端な対比をどっちも美味しくいただける仕掛け。
最愛の人とは熱く激しく求め合い、父のための義理では犠牲の羊として蹂躙されるまま、たわわな肢体をハードに活用し彼女は肉欲の僕と化す。えっちな突起をピンと勃たせじゅくじゅくと蜜壷を濡らして歓喜の営みも屈辱のそれも等しく体温は上昇し脳髄をこみ上げる衝動に身もだえするのだ。粘膜どうし音を立てながら前後の穴を怒張が往復しそのたび汗と涙とよだれまみれで全身を打ち震わせるヒロインの痴態がたまらない。いよいよ感極まり昇りつめてゆく彼女の子袋いっぱいに熱い飛沫がぶちまけられ女体征服ミッションコンプリート。
巻末著者あとがきで述懐しているとおり渾身の初長編でありその思い入れが作画/作劇ともうかがえる力作。結果的に既刊からのファンがとまどう要素が含まれることとなったけれども、最終的にはキッチリと従来どおりの「愛は勝つ」を実践した作者のチカラ技に乾杯。さまざまな障害を乗り越えようやく本当の幸せをつかんだかなえさんの未来を祝福するとともに、短編「ブーゲンビリア」のド変態露出狂お嬢さま麗華さんの熱演にもえらく心動かされたことを記しておきます。
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