-ゲズンタイト「#ふつうのおんなのこ」リイド社 ISBN:9784845850723
話○ 抜○-△ 消小 総合○
時間を停め男どものちんこを食いまくるヒロインはある日同じ能力を持つ人間の存在に気づき……前後編+学園の平和を守るため巨根を武器に日々大活躍のふたなり委員長本編&前日譚+独立短編4本。端整な筆致でもって奇想うず巻くエクストリームエロスを怒濤のごとく展開の作者これが記念すべきファーストコミックスだ。
紙でなく電子でのみリリースゆえ観測範囲の狭い自分はどうしてもチェックが行き届かない「comicクリベロン」なのだけど、気がつくと最近はワニやコアなどメジャーどころではお目にかかれない特異な才能が続々集結してきている。しのざき嶺、ジョン・K・ペー太、三条友美……と試みに執筆陣を幾人か挙げてみればそのイカレっぷりも理解できるのでは。そんな同誌期待のニューカマー、第二回蒼狼賞――いわゆる新人賞的なものだろうか――を獲得した謎のドイツ人漫画家(ほんまかいな)、満を持して天下へお披露目。
えらく気合いの入った前宣伝に圧倒され予備知識ほぼゼロの状態でまずは確保してきたのだけど、帯の派手な惹句を除くと第1印象はそれほど奇天烈なアトモスフィアではない感じ。明確にリアル寄りながら劇画的泥くささのないシャープな絵柄が特徴的だ。いわゆる萌えっぽさは希薄でエロ漫画というよりはマニア系の青年誌にでも描いてそうなそのヴィジュアルは新人らしからぬ完成度の高いもので、収録作すべて直近2年以内の執筆なのを考慮したとしても並みの手腕ではない。おそらくは他分野での活動歴があるか作画アシ等の経験を有しているのではと邪推するのだがどうだろう。なお掲載誌公式web内の単行本紹介ページでサンプル画像を参照できるので、ゲズンタイト未体験の方は書店へ向かう前にまずはチェックを。
明らかに大人キャラの似合う絵柄だけどヒロインの年齢層はわりかし若くて、下はロウティーン附近から年長さんでも推定20代なかばくらい。後述するアヘ顔描写を除けば漫画的ディフォルメは非常に少なく、スラリと頭身高めのボディデザインとも相まってずいぶん写実的な造形だ。抜き物件なのでおっぱいは比較的大きめに描かれるけどこれまた常識的なサイズに留まっており、昨今流行りの極端なビッグバストが苦手な方には好適。もっとも一部女性らしいというよりなにやらマッチョな体型の娘もいらっしゃるので受容にあたりハードルとなるのはむしろそちらか。
どちらかというとオーソドックスでさえある作画面に対し、くり広げる物語の方は明らかにバッドチューン。和姦だの凌辱だのの一般的なくくりがまったくふさわしくない、すべての作品に過剰なほどのエネルギーとある時期のサブカルチュアに対するオマージュが横溢しているのだ。それはたとえば某ネコ型ロボットの露骨なカリカチュアであったりあの世紀末伝説の外殻をひょいと拝借していたりという形で表出される。そのほかオリジンなお話のなかにも不条理漫画的なヘンテコガジェットをモリモリ出してくるのみならず、普遍的な漫画文法をおちょくる構図をぶちこんでみたりポリティカルな風刺を織りこんでみたり重層的な読みを可能にするあらゆるものをびっくり箱みたいに床へぶちまけてもはや収拾不能だ。かくのごとく各種のマクガフィンを大量投下しては勢いで最後まで押し切る特異な作風はある意味目が離せないのだけど、そのぶん脳みその容量をそれらに割かれちんこの活用には気が散ってしまうのがなんとも困りもの。
青春の狂騒を浮き彫りにするストーリーののちはこれまたえらくブルータルでハードコアな肉体言語の応酬が展開される。とりわけ多くのお話で異性装やフタナリなどジェンダーを揺るがすような題材を積極的に盛りこんでいるのが特色で、初見では男女の判別がつかないようなキャラが性的役割分担も曖昧な状況でガツガツ情交にいそしむさまは普通のエロ漫画ではあまり見られない光景だ。ここに極端なくらい白目を剥き下品きわまりない様相をさらすイキ顔描写と粘膜どうしダイナミックに絡みあうえげつない性器結合シーンとが悪魔的なハーモニーを奏でて世にも奇天烈なストロングファック曼荼羅絵の完成となる。
もよおせば女子ども即座に着衣を脱ぎ捨てまんこおっ広げて挿入準備完了だ。いきなり怒張を蜜壷の奥深くまでねじこまれ悶絶しつつも脳髄には強烈な快感が走り早くも夢心地。目にはチカチカ星が飛び交い法悦の態で四方八方へエロワードをまき散らす。内臓もめくれ上がるほどハードに性器を使役しながら汗と涙とよだれまみれで咆吼だ。いよいよ日本語にならない嬌声を発しながら昇りつめてドスケベヒロインズの子袋いっぱいに滝のごとくザーメンの奔流をぶちまけ女体征服ミッションコンプリート。
各種オタ文化のエッセンスが随所に振りまかれた物語のなかから独創的なヒロイン連中が強烈な存在感を発揮しつつブルータルな濡れ場をくり広げド派手にイキまくりよがりまくりの唯我独尊エロスをオーヴァードーズ寸前になるまで摂取できるきわめてユニークな処女単行本。個人的には両性具有ネタなど一部どうしても抜けないシチュがあり、またお話がおもしろすぎて股間の摩擦運動に集中できないきらいはあるものの、とにかく奇抜なエロ漫画が読みたいというニーズには間違いなく最適解となろう。ただ現在の作画/作劇とも読み手を選びまくりな芸風を続けていく限りワニマガやコアなど大手の成年漫画版元からお呼びがかかる可能性は低そうな感じ(むしろ特異なセンスを買われて一般誌へ青田買いされるのが先かも)。今後どのような進化をとげるか成長を見届けてゆきたい逸材だ。このたび収録のものでは、妙な形でマチズモを誇示しつつ80-90年代少年漫画にも通ずるウェルメイドな転校生もの学園ストーリーとしてオハナシを成立させてしまったキメラのような味わいの「委員長 vs The World」/「委員長GENESIS」連作が私的フェイヴァリット物件。
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