-宇行日和「福従都市メガロマニア」キルタイムコミュニケーション ISBN:9784799210512
話◎-○ 抜○-△ 消小 総合○
量子コンピュータの管理による完全無欠の理想郷に住まう一級市民たる獣人たちはソドムさながらに背徳の情欲にまみれ表題作シリーズ4本&描きおろし前日譚+独立短編5本。本格SF仕立てのハードな物語世界を背景に多種多様なケモミミガールズ&レディースが尋常ならぬ淫蕩ぶりを発揮しては文字どおり動物じみたストロングファックに没頭し大量の精を注がれ受胎するに至るまでの一部始終を疾風怒濤のヴォリュームでお届けの作者最新刊は通算3冊めのコミックスだ。ところでこの作者のPNを一発で「たかゆきひより」と読める剛の者はほとんどいないと思うので今回も既刊2冊と同様に明記。
商業デビュー当初から抜きキャラにヒューマン種族などほとんど出してこない生粋の人外エロ描きで、前単行本「愛欲幻想の怪」からはついにヒロイン陣から人類が総退場。加えて作劇のマニアック度もどんどんアップして、昨今非現実度が低下ぎみの「コミックアンリアル」にあってむしろ奇想ぶりが青天井で上昇しているツワモノだ。そんなこの人およそ1年半ぶりのこの新刊はさらにとんでもないブツになっておりましたよ。
コテコテのアニメ/ゲーム系のタッチは基本的な造形こそキャリア初期と通底するものの、ややのっぺりしていた表情には適度に陰影が加わり微妙なニュアンスを表現できるようになって深みが増した。このへんは肢体描写にも共通していて、よりエロ漫画らしい色艶が乗っかった四肢やちちしりまんこ等のエロパーツはシズル感にあふれ読み手の欲望を効果的に励起せしめる。ことに今回収録の作品たちはみな直近2年以内に執筆の最新型宇行日和であり安定感は抜群。なお例によってKTC恒例の詳細すぎるくらいなコミックス情報ページでサンプル画像がたっぷりおがめるので、いきなり本屋へ直行する前にそちらを覗いておくのをオススメ。
この蠱惑的な筆致でもって今回も獣耳娘だの悪魔だのノーマルな霊長類に属さないヒロインがてんこ盛り。下等市民としてわずかに登場する人間たちもすぐさま獣人化改造されるうえ、ただケモミミがついているだけでなく骨格までガチの動物っぽいキャラが出てくるので人外っ娘にあまり耐性のない方にはハードルが高いかも。とはいえ首から下はシッポがつく以外おおむね人類互換の美味そうなボディで、むっちり肉づきのよいトルソから激しく自己主張するたわわな双丘を目の当たりにして思わずむしゃぶりつきたくなること必至。
クトゥルフ神話ベースのヒリつくような世界観をエロのフィールドでみごと具現化した前作から趣向を一転、今回はさらに骨太のディストピアSFをくり広げる。タイトル・チューンである「福従都市メガロマニア」(および非シリーズものの短編「ヒューマン・イン・ザ・ループ」も舞台設定を共有)は巻末著者あとがきいわく「某完璧で幸福なTPRG」が元ネタとのことで、それについてはググれば自明だし、この枠組み自体「1984年」、「われら」、「華氏451度」など普遍的な反ユートピアものの系譜に属するものだ。しかしながらそれを獣人エロというみずからの得意分野へ力業で接続しきちんとした整合性をもって物語をドライヴさせるのが宇行日和ならではのオリジナリティであり最大の美点。核戦争後の荒廃した世界の立て直しを公平無私のコンピュータ「信託機械」にゆだね、肉体を獣人化し地下のシェルターで安寧に生きる市民たち。だがその裏側では支配体制の矛盾と歪みがふつふつと蓄積され、その暗黒面を垣間見ることになった彼ら彼女らには非情な罠と酸鼻な凌辱が待ち受けているのだ。かくして噴出するブルータルな情欲の発露とやるせない結末とがオムニバス形式でつづられたのち、巻末の本編プロローグで作品世界の成り立ちが描かれ締めくくる構成も完璧。その他ノン・シリーズの読み切り群も人外女子たちをめぐる殺伐とした性の饗宴が訥々と語られ、いずれも苦く複雑な味わいのエンディングを迎えてあたかも鉛を飲み干したみたいな読後感に包まれる。てなわけで甘々イチャラヴをお望みの方は間違っても手にしちゃいけない猛毒であるけれど、それだけにずしりと心身にたまるたしかな読書体験を得られる希有な1冊だ。
本作は異様に密度の濃いストーリーパートのみならず濡れ場の充実ぶりも天下一品。一部の掌編を除き1本あたり20ページ内外のさほど多くない分量のなかでもこの作家ならではの卓越したお話運びによりスムーズにエロシーンへ突入しケモミミガールがド派手に乱れ膣内射精され放題の性的放縦を余すところなく活写だ。プレイ内容は強要系主体でレイプ輪姦てんこ盛りのえげつない光景が雨あられのごとく読者の脳裡に叩きつけられる。支配/服従の構図が色濃い人権蹂躙フルコースの殺伐としたファックがどこまでも続き、マインドコントロールによる人格破壊や具体的な肉体損傷にまで至る地獄絵巻をくり広げつつもいつしか快楽の渦に飲みこまれ正常な思考能力を喪失した彼女らはもう目の前の肉欲におぼれる以外なにもできなくなるのだ。もはや単なる1匹の動物として刹那的な交合に明け暮れるヒロインたちの胎内には幾度となく白濁が注がれ、やがて誰のものかもわからぬ子を孕みボテ腹さらしてはなおも終わることなきセックスの奔流にその身が朽ち果てるまで没入してゆく。
無辜の母娘や罪なき少女がパーフェクト・ワールドのその淵にふと見えた暗闇へ引きずりこまれ止むことなき凌辱の悪夢へ一直線。着衣を引き裂かれ柔らかな体躯を白日の下さらけ出されて羞恥と屈辱に打ち震える彼女らの受難はしかしまだ序の口。投薬や器具により理性を失わされ赤裸々な欲望のみを引き出されるとケダモノさながらの痴態を存分に見せつけ自分から男根にまたがり腰を降りはじめるのだ。いつしか粘膜どうしの摩擦運動に没頭し下品きわまりないアヘ顔さらしながら淫語マシンガン連射するさまはもはや下等生物のそれ。デスパレイトな快楽に身をゆだねヒトならぬイキっぷり全開でうわごとのようにナマ中田氏を懇願する彼女のご要望どおり、最後は受胎確実の特濃ザーメンを子宮の最深部までたっぷりとお見舞いだ。
まだしも取っつき良好な部分を残していたデビュー作から冊数を重ねるごとに作画/作劇とも息苦しいほどに密度が高まって、いまや極限までエキスを煮詰めた濃縮液のごとき面妖な雰囲気までかもし出しはじめたハードSF凌辱の金字塔。ここまでコッテリ感が強まると気軽にちんこをしごくのには逆に向かなくなってきたけども、ディストピア系エロのひとつの到達点として今後も語られるべき逸品であるのは間違いない。人外耐性のあまりない自分はガチでケモな一部のヒロインでは少々息子を活用するのが辛くなったものの、人間なんかイラネ!と豪語する本格派獣っ娘スキーならばむしろ抜き評価5割増しでよろしいかと。今年に入ってからのKTC物件はいろんな方向へ突出しまくった単行本が続々と刊行されて出版社の本気を改めて感じた次第だが、作者さまにおかれましてはますますゴーイングマイウェイを極め前人未踏の境地へ到達していただきたい。
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