-奥森ボウイ「毎日が挿入日」富士美出版 ISBN:9784799505229
話○ 抜○-△ 消小 総合○
元バンドマン現ホームレスの主人公はかつての追っかけ女子に拾われ世話になって本編&描きおろし続編+独立短編8本&うち2作品巻頭フルカラー後日談風ピンナップ。ありふれた日常のなか出会うキュートガールズ&レディースとめくるめく愛欲の刻を過ごすドリーミンワールドに耽溺の作者最新刊は通算4冊めにして当レーベルからの2ndコミックスだ。なおこちらは先月末発売のものを大幅にディレイしての評価記事であることをあらかじめお詫びしておく。
デビュー以来バカ売れはしないけど着実にキャリアを積み重ねてきた中堅どころ、というのがこの人についての従来の印象。しかしながら去年5月発売の前単行本「俺得修学旅行」(ジーオーティー刊)で大ブレイクを果たし一気に売れっ子の仲間入りを果たした。実際この新刊も出版社のプッシュはこれまでになく強力で、現在まさに旬の漫画家であることのまぎれもない証明。ちなみに版元提供の単行本情報ページから試し読みへのリンクが貼られているほか、著者公式ブログ内の発売告知記事で内容サンプル&コンテンツ紹介や各ショップ購入特典が参照できるので、いきなり本屋へ直行する前にまずそちらのチェックを。
そんなわけで手にしたこちら、のっけからキャッチーなメイドっ娘がおっぱいまる出しでぼくらを熱烈歓迎のカヴァーイラストが早くも読み手の股間をダイレクトドライヴ。一方で中身のモノクロ原稿は表紙の雰囲気よりはオタ色の薄いオーソドックスな一般青年誌系のタッチで、派手さはないけど丁寧につむがれる落ちついたヴィジュアルだ。収録作の初出がまったく記載されていないので厳密な執筆時期はわからないけど、巻末著者あとがきでゼロ年代末~直近の比較的広いスパンにかけ「コミックバズーカ」や実話誌などに掲載された作品群であることが明かされている。たしかにお話によりいくらか絵ヅラの差異は感じるものの間違いなく奥森ボウイの手になるとわかる作画であり、表紙のみ見ての衝動買いでも裏切られることはないはずだ。
修学旅行舞台ということで必然的にオール女子高生だった前作との最大の相違点がヒロイン連中の年齢構成で、10代女子はマイノリティとなりOLやら風俗嬢やら20代の勤労巨乳女性が中心となったラインナップ。比例して顔立ちもずいぶんアダルト感が増してお肉もちょっとよけいについた感もあり、ションベンくさいJKよりオトナの女の色気がいいんだ!という貴兄にはうれしい変化。まあ青い果実スキーの自分は申しわけなく思いつつも少々ガッカリしたんですけど。
物語傾向もまた「俺得修学旅行」のような長尺ものではなく、ちょうど1冊めや2冊めのような1話完結の作品が大多数。前作であったような、女装男子がJKの群れにひとりまぎれこむといった趣のケレン味たっぷりなギミックは今回ほとんどなくて、ありふれた現代日本舞台のきわめて日常的なラヴ・アフェアばかりだ。漫画作品なのでみな整った顔立ちではあるけれど、決して絶世の美女や超絶イケメンでなくどこにでもいそうな男女がくり広げるそれは彼ら彼女らの生活環境や就業状況を含めて地に足のついたリアリティを感じさせるもの。もっとも女の子全員わりかしインスタントに身体を許してくれ初手からド派手にイキまくるタナボタティックな展開はエロ漫画ならではのもので、平凡な世界観に少しだけ「あんなこといいなできたらいいな♪」的ドリームを混ぜこんでゆくその絶妙な塩梅こそが奥森ボウイ作品ならではの味。
1本あたり18-20ページ程度と総分量はあまり多くないものの、エロシーン占有率は高めの部類で息子のお供としては大いにユースフル。リアリティ重視で若干形が悪かったり肉付きがアンバランスだったりする肢体描写が興奮を励起するにはむしろプラスに働いており、また全ヒロインに共通するモサモサの陰毛処理もより現実感をきわ立たせるのだ。ここに彼女らのクルクル変わるアクメ顔百面相や景気よくフィーチャーされる性器結合/膣内射精断面などエロ漫画特有の演出が上手くハマって読み手の摩擦運動を力強くアシスト。
退屈な日常からひょいと抜け出し2人だけの空間に閉じこもって熱く激しくメイク・ラヴ。彼女の汗ばむボディへむしゃぶりつくとふと匂い立つ牝臭が鼻をつきそれがいっそう情欲を刺戟するのだ。ガッチリ尻を抱えこみ準備万端の蜜壷へ怒張をねじこんでゴリゴリとストロークを刻みはじめる。未曾有の快感に全身をよじらせ小刻みに嬌声をまき散らすさまがいとおしくもエロっちい。恥も外聞もなくトロトロのイキ顔をさらけ出しながら昇りつめてゆく彼女のドスケベまんこめがけ最後に特濃ザーメンの奔流を叩きつけてフィニッシュ。
キャッチーな設定のもとJK専科でくり広げていた前作とはいささか趣が違い大人女性メインでありふれた日常世界のラヴ・アフェアに徹するこの新刊は、最近になって奥森ボウイを知った人にしてみるとどことなく空気が違って当初戸惑うかも知れない(いくらかオタ的なノリの例外はあるけれども)。しかしながら地味ながらも誠実に男女の愛の営みをつむぎ出す本作のテイストの方が、以前からこの作家の作品に接してきた自分にとっては自然に思える。10代女子スキーの俺なのでお歳のいったヒロインでは若干私的実用性が低下したものの、客観的に見れば精液分泌支援物資として過不足ない仕事でありお値段以上の働きをしてくれることは疑いなし。今回収録の物件たちのなかでは、たゆたゆ爆乳書店員ちゃんが同僚の彼とともにセックスという名のダイエットに没頭の「俺の彼女はすーぱーぷに子」と、バイト仲間同士のカップルがようやく舞台を整えた初Hで熱く燃えあがり「夏色バズーカ」がとりわけよござんした。
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