2017-10-04

本日の4番ピッチャー。

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-くまのとおる「キモチイイのがスキなんです」富士美出版 ISBN:9784799505342
話○ 抜○-△ 消小 総合○

恋愛初心者男子女子の揺れるキモチとようやく心通じあい初めての快感に打ち震える彼女らのカラダをヴィヴィッドに描写短編全10本。多彩な魅力のヒロイン連中が紆余曲折ありつつもひそかに思う男子と無事恋愛成就するまでのプロセスが丁寧につむがれる光景に読者のニヤニヤも止まらない作者最新刊は通算2冊めの成年指定コミックスだ。
コッテリ濃厚なトーンワークに彩られたド迫力おっぱい女子が派手にイキまくり射精されまくりという、食材全部をトンコツ味で24時間ガッツリ煮詰めたかのごとく濃厚な仕上がりに持っていくのが昨今のエロ漫画界のトレンド。むろん自分もまさにそんな作品たちが大好物ではあるのだけれど、そんな時代の風潮に逆らいスッキリサッパリ清新な後味のプロダクトを続々と生み出すこの人のことも一方で非常に気になる存在。昨夏刊行のデビュー単行本「ホントはHしてみたい」から1年ちょっとと比較的短いインターヴァルで上梓されたこちらも当然のごとくデフォ買いですよ。
目がチカチカするような毒々しい装幀のコミックスが周囲に多いなか、本作カヴァーのプレーンな雰囲気は店頭で逆に目を惹く。中身のモノクロ原稿も表紙の印象に準ずるさわやかなタッチで、オーソドックスな一般青年誌系の絵柄がなんともすがすがしい。実際ちょっと前までは非エロの連載を同時進行で手がけていたくらいで、黄色い楕円さえ隠せばこっそり売り場を動かしてもバレなさそう。ご無体にも収録作の初出についてなんら記載がないがおそらくは直近執筆のものばかりと見え単行本トータルでの作画品質はきわめて安定。なお出版社サイドで立ち読みへのリンクが付属した単行本情報ページを用意しているので、くまのとおる初挑戦の方はそっちを事前に覗いておくのをオススメ。
前作に引き続きヒロインの年齢層はハイティーン~20代前半あたりで一貫。昨今のこの業界ではめずらしくガチロリでもないのに比較的バストサイズが控えめなのが特徴的だ。とはいえ決して貧乳というわけではなく明確な起伏と美味そうなニップルが標準装備されているのでおっぱい星人とてむやみに失望することはないはず。さらになによりすばらしいのが非常に魅力的なショートヘアキャラを細かく髪型を違えつつモリモリ出してくれることで、短髪女子大好きっ漢の俺はまさにこれが見たくて彼の漫画作品を愛顧しているようなもの。
十人十色さまざまな女子たちのキャラメイクと同様にくり広げられる恋模様もヴァリエイション豊か。構造的にはなんてことない1on1のタイマンラヴばかりなのだけれど、どこにでもありそうな日常にちょっとだけドリームの混淆した居心地のよい舞台設定と、そこに生息する真摯だけどどこか不器用な男子女子が互いに好意を抱きつつも一直線でなく少々フラつきながらラヴ模様を推し進めようやく結ばれるまでの一部始終をゆっくり丁寧に描写するさまが読み手の心にたしかな感触を残す。男子側が積極的にアクションを起こさずともヒロイン側からいろいろ仕掛けてくれるケースが多いのは若干ご都合主義の匂いを感じるとはいえ作為なく上品に仕上がっており男性向けラヴコメとしてナイスなできばえ。加えて間違いなく恋に落ちているのにダイレクトな行動へ移せず戸惑い逡巡する繊細な心もようを描かせると天下一品で、読んでるこっちはそれをもどかしげに見守りつつも彼ら彼女らがどうにかこうにか気持ちを通じあわせしっぽりハッピーエンドを迎えるのを目の当たりにして「えがったのう……」と涙がホロリ。
1本あたり18-20ページのややタイトな分量のうえストーリーパートにたっぷり尺を割くので濡れ場占有率はそう高くないが、すなおになれない彼氏彼女がようやく互いの本心を確かめ合いしっぽり結ばれる多幸感にあふれたエロスがぼくらの勃起中枢を効果的に励起せしめる。2人ともはじめてもしくは経験の浅いビギナー同士なのだけど、稚拙ながらも相手をおもんばかり気持ちよくさせてあげようと誠心誠意にセックスにいそしむさまがグッとくるのだ。決してリアリズム志向の絵柄ではないのに、慣れない行為に高まるカップルたちの鼓動までもがこちらに伝わるような青春のときめきをヴァーチャルに体験させられてしまうさまはまさにくまのとおるマジック。
本当の気持ちをさらけ出すまでずいぶん時間がかかったけれど、やっと愛を打ち明けられたカップルたちは熱く口づけを交わし2人してベッドイン。スレンダーな肢体を最愛の彼の前であらわにしてタイトに抱き合いながらともに敏感な部分を愛撫し合う。すっかり濡れ準備万端な彼女の蜜壷へ暴れん棒をねじこみ性器どうしの真剣勝負を開始だ。体躯を重ね合い手足をしっかり絡めてお互いの熱い体温を感じながら2人して昇りつめてゆく。両者ラヴワードをぶつけ合い執拗にキスしながら最後は熱い飛沫を彼女の内部へ放ち濃厚な愛の営みにもようやくピリオド。
基本おっぱいスキーで膣内射精原理主義者の俺が、決してビッグバストぞろいではなくひんぱんにゴムつきファックを敢行するこの人の漫画をそれでも大いに愛読するのはひとえにカップルたちの素朴で初々しいラヴ模様がすばらしすぎるがゆえ。まあ中田氏エンドの方がやはりうれしいのでもっと増えてほしいのはたしかだけど、前作に引き続き不器用な彼氏彼女のほっこりエロス絨毯爆撃にすっかりご満悦ですよ。くまのとおる漫画についてはどのお話もヒロインのみならずいい味出してる相方とセットで味わうのが至高ですな。そんなわけで今回も楽しく読み読みヌキヌキさせてもらったが、なかでも男装オレっ娘とタイマン張ったら恋人じゃあ!な爽快エロコメ「ケンカするほど…」と、正直な気持ちを言葉に出せないヒロインとカラダで本音のお突き合い「言いたいコトは?」がともにナマ出しフィニッシュでもあり最愛物件。

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