2017-11-07

今夜の下面発酵。

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-こっぽり生ビール「宵はじめ」ワニマガジン社 ISBN:9784862695239
話○ 抜○ 消小 総合○

漫画課題の手伝いに来た同級生女子宅で流れのまま本番突入本編&描きおろし後日談+独立短編9本。なんてことない平凡な日常のなかふとしたことで結ばれる男子女子'sのささやかだけど熱っぽいラヴ模様をしっとりと誠実につむぎ出す作者これが記念すべきファーストコミックスだ。
押しも押されぬエロ漫画雑誌のトップランナーである当社刊の「COMIC快楽天」は業界最大の販売部数にふさわしく執筆陣にもキラ星のような才能が勢ぞろいしているのだけれど、口さがない連中がネット等で「量産型ワニ作家」と揶揄するように、ある種似た雰囲気を持つ漫画家たちが並びがちなのは否定できないところ。しかしながらつい最近になり参戦したこの人はそうしたパブリック・イメージから微妙にズレた印象の作品をものしていて少々気になっていたのだ。そんななか処女単行本発売の報を耳にしたものだからすかさずポチった次第。
一般に快楽天系列で描いている作家の絵柄といえばキュートなアニメ/ゲーム絵にオサレ感をほんのりまぶして……みたいなノリをつい想像するのだが(安っぽい表現ですいません)、本作表紙/裏表紙にただようほのかに淫靡なアトモスフィアはどこか異質。といっても中身のモノクロ原稿は若干のザックリ感を残しつつもオーソドックスな一般青年誌系のタッチでいくらか趣が違い、これは裏表紙の一部に抜粋された白黒コマを参照する方がベター。もちろん実際に店頭見本を手に取るか版元サイトにあるコミックス情報ページからサンプル画像を確認するのが最良ではある。
この妙に後を引く筆致から生み出されるヒロイン連中は年のころハイティーン~20代前半あたりのゴールデンエイジ。のちほど作劇面でもちょっと触れるが、絶世の美人というよりフツーにご近所にでもいそうな日常感あふれる造形が特徴的だ。もちろん間違ってもブスとかではないが(まあ少しばかり地味めですけど)決して手の届かない存在ではないガール・ネクスト・ドア風のキャラメイク。付随しておっぱいサイズも昨今快楽天誌上で支配的なド迫力ビッグバスト専科ではなく並だったり貧だったりする娘も存在していてそのへんもリアル感を増す要因なのですよ。
こっぽり生ビールのつむぎ出す物語には波瀾万丈のジェットコースター展開も大河ドラマさながらの感動雨あられもない。その代わり彼が語るのはごく当たり前の現代日本を舞台に特段の進学校でもない学園に通い国を代表するでもない組織に勤める男女たちのべつに華やかじゃないラヴ・アフェア。けれどもそれはつまらなくも退屈でもない、いままさにお互い恋に落ちようとする彼氏彼女にとっては一世一代の甘く激しいロマンス。なにげない会話からいいムードになって自然に2人身体を重ね同じベッドで事後仲よくグッタリ。まあ一部愛情より肉欲優先のお話もあるけれど、総じてリアルタイムでフォーリンラヴなカップル連中のやけに焦る思いや余裕のなさ、それを経てのときめき燃えあがる心という具合に情動変化をヴィヴィッドに表現できていると思う。ジャパニーズ・ロウワー・ミドルクラスの身もフタもない現実を赤裸々に映し出す日常パートととともに地に足のついた描写はワニのエロ漫画らしからぬ独特の存在感。
1本あたりほぼ20ページ固定のそう多くない分量でエロシーン支配率もさほど高い部類ではないけれど、いったん想い合うハートを確認し合えばただちに熱烈ファック突入のエモーショナルな濡れ場はなかなかに扇情的。ただの日常会話が徐々に愛し合う2人の睦言へと変化してゆくその変遷を描くのが抜群に上手いのだ。加えて本気モードに入ってからヒロインが積極的に行為へ没入しほおを真っ赤に染めながらイキ狂うさまを表情のドアップ多用で逐一追いかけるさまがナイス。最愛の男子に固く抱きつきながら子袋の許容量いっぱいに膣内射精されはしたなく絶頂する彼女らの艶姿でティッシュの消費量もうなぎ登り。
憎からず思う2人は徐々に距離を縮めいつしか唇を重ねやがて褥へとくずおれてゆく。なにかに憑かれたかのごとくお互いの敏感な部分を執拗にまさぐり合い本番へ向け一直線。すっかり準備万端の秘密の花園へいきり立つ怒張をせわしなくねじこみ性器どうしの真剣勝負がスタートだ。愛する女の乳首を吸い愛する男の肩にしがみついてカップルたちは狂おしく交合に没頭する。両者とも愛の言葉が日本語にならない絶叫へと変わり果てたら絶頂も間近。執拗に中田氏を懇願するヒロインのドスケベまんこのその奥へ特濃ザーメンの奔流を叩きつけフィニッシュ。
端整ではあるけれど売れ線ど真ん中のヴィジュアルというわけではないし、近ごろ流行りの万事快調全知全能俺TUEEEEE系の展開をお望みの方にはハッキリ言って不向きだけど、恋に恋する彼氏彼女の高揚する想いをヴァーチャルに追体験するにはもってこいの1冊。まだまだ作画には粗い部分も散見され、また誠実な語り口とはいえ多少は物語にケレン味があってもいいとは思うけれど、そのへんは今後いくらでも向上させていける部分。個人的には直近の快楽天に載っていた三白眼女子のお話(今回未収録)が非常にグッと来たので、それが入るはずの2冊めがものすごく楽しみだ。今作コンテンツのなかでは、唯一の連作でありバリバリの広島弁で同級生男子に迫り来るヒロインがむやみにキュートな「見よるやろ?」/「もっと! 見よるやろ?」と、一見おとなしくルックスも地味めな彼女は超エロエロで……の「ほんとのところ」でもってマイサンを酷使。

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