-氏賀Y太「デッドフラミンゴ」三和出版 ISBN:9784776991366
話◎-○ 抜○-△ 消小 総合○
吸血鬼となり突如訪れてきたクラスメイト女子に血を吸わせる代償として主人公は凌辱暴力やりたい放題前後編&描きおろし後日談+原作交換漫画2本+独立短編2本+ショートショート2本+巻頭イラストギャラリー。血しぶきと肉塊がそこらじゅうに行き交い少女の断末魔の絶叫が響きわたる壮絶なリョナ満漢全席を怒濤のごとくお届けの作者最新刊は今年に入り2冊めのコミックスだ。
いまや日本のみならず全世界にその名をとどろかせる猟奇エロの大家で、いっとき単行本リリースが途絶えていたのがこの数年来は未曾有の刊行ラッシュでファンを喜ばせている。これほどまでに発売が矢継ぎ早なのはひとつには新装版やベストセレクションなどが続いたというのもあるけれど、ジーウォークより年初に上梓された前単行本「Dr.乳児郎の憂鬱」は同人誌が初出の完全新作だった。そしてわずか半年弱の短いインターヴァルを経ての本作もまたうれしいことに全編ブランニューの作品集となる。なお三和出版物件としては2016年刊行の「絶望器官」以来およそ2年ぶり。
フォント遣いや訴求コピーなどでいかにもおどろおどろしい雰囲気をただよわせつつも、カヴァーイラストからは直截的なヴァイオレンス表現が注意深く排除されているのでちょっとキツめの調教系くらいのとらえ方をされそう。むろんそんな甘い認識は1ページ目からスプラッタなイラスト登場で雲散霧消するのだけど。それはともかく絵柄自体はむしろポップ&キュートな訴求力の高いもので、このへんは流行作品の二次創作なども抵抗なく手がけ世間のトレンドにも敏感な作者の誠実な姿勢がうかがえる。残念ながら収録作の初出一覧がないがググってみると最近になり同人で出したシリーズをまとめたもののようで作画の安定感は抜群。ちなみに著者pixivアカウントの発売告知でサンプル画像のみならず宣伝用動画まで用意して販促につとめているので、ぜひそちらを見て書店ないし通販で本作をゲットしていただきたい。
どのみちみな贓物をド派手にまき散らしながら悶死するとはいえ今回登場の女の子たちはエロ漫画的アピールもバッチリの童顔巨乳ティーンズ多めで、そのままノーマルな和姦ラヴコメに登場してもおかしくない萌えっ娘ぞろいだ。あと後述する事情によってこれまた愛らしいショタキャラまで出てくるので本作はさまざまな需要に対応できそう。いずれにしても彼ら彼女らを待ち受ける運命は総体として悲惨そのものなので読者におかれましては覚悟のうえ読み進めること。
収録コンテンツは大まかに三分され、無気力無関心風の主人公・灰江田蓮人(はいえだれんと)と、彼の前に突如吸血鬼として現れる一見クールじつはコミュ障級友女子・片霧椿(かたぎりつばき)とのハードコアな交流が描かれる長尺シリーズ「月光椿(がっこうつばき)」連作がまず冒頭から。次いでこちらも氏賀Y太に負けず劣らず強烈な個性を放ち続けるアングラエロスの第一人者・掘骨砕三との原作交換企画「屋上楽園(原作:氏賀Y太/作画:掘骨砕三)」/「人肛飼育(原作:掘骨砕三/作画:氏賀Y太)」2本が中盤に。そしてそれ以降が通常モードの読み切り群となる。
これら3つのパートのうち後半は完全にいつもの氏賀節なのでまあ読んでみてという感じだが、作画はまるで雰囲気が違うのに双方原作者の色が出まくる交換企画の2本には驚かされた。とくに掘骨原作/氏賀作画の異形生物飼育&ショタ男子人体改造もの「人肛飼育」の方は極度にグロテスクな設定なのにほのぼの感すらただよう掘骨ワールドがY太絵でさえも遺憾なく発揮されていて強烈な違和感。そしてそれらを抑え自分的にもっともグッと来たのは巻頭連作「月光椿」。巻末著者あとがきで自身述べているとおり本作はとりわけ対人恐怖症で自分から人を襲えないポンコツ吸血鬼少女・ツバキのキャラ造形が絶妙なのだ。まともに会話もできないのに主人公・レント宅へ転がりこんできては凶暴化した彼に凌辱の限りを尽くされ好き放題に肉体を蹂躙される彼女はひたすら従順に受難を受け入れる。そんな境遇に甘んじる理由はやがて徐々に明かされ、またツバキを常時殴打し四肢を引きちぎってと乱暴狼藉を尽くすレントもまたその秘められた本心が最後に垣間見えるのだが、それについては実際にみなさま自身の目でご確認を。いろいろあって最終的にこのブルータルな血と暴力の物語がどうしたわけか甘々ラヴコメっぽい空気さえまとうようになるさまに年甲斐もなくきゅんきゅんしてしまったり。
前作に引き続き横溢する暴力描写のなかにもそこそこの割合で濡れ場が含有されておりパートを限定すれば普通に股間を使役できる。もちろん手足を引きちぎり目玉をえぐり出し心臓をぶち抜いてというシーンの方が圧倒的に多いし、お話によってはエロス無視でひたすらヴァイオレンスに没頭するものもあるので注意すること。収録作のなかでもっとも抜き志向が高いのは前述の「月光椿」シリーズで、後半部の血しぶき炸裂スプラッタ絨毯爆撃に突入するまではオーソドックスな凌辱調教リョナとして受容可能。童顔巨乳オドオド系という私的嗜好にフィットしまくりなヒロインの魅力もあり、無抵抗な彼女を罵倒しビシビシ打ち据えながらガッツリ膣内へザーメン連続注入の光景で気持ちよくオタマジャクシを放出ですよ。
いつものように徹底的に救いを拒否し読者の心をどんよりさせる親子惨殺短編「遙かなる蛍が峰」のような氏賀Y太印グリグリの作品もあるけれど、原作交換企画だのちょっとハートウォームな長編だの、今回はこの人の作品としては変化球のお話が多くあって新鮮な読後感。こういうのが描けるのならスプラッタ要素皆無の純愛イチャラヴでもいけそう(まあ実際には絶対やらないと思うけど)。そんなわけで収録作のなかではワタクシ圧倒的に「月光椿」推しで、ボソボソ小声で消え入りそうな会話しかできない人間恐怖症おっぱい吸血っ娘・ツバキちゃんのドエロい痴態と一途な想いにオッサンやられっぱなしでした。
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