-コバヤシテツヤ「牝豚、ぶち犯す!!」クロエ出版 ISBN:9784908099571
話○ 抜○-△ 消小 総合○
凄惨な過去を忘れ幸福な結婚をしたはずのヒロインは突如遭遇した元カレに犯され再度従順な肉便器として仕込まれて連作3本+子供を授かりたい兄夫婦に協力すべく凌辱エロ漫画家の主人公は奇天烈なシチュで兄嫁に精液を注ぎ続け前後編+独立短編2本+巻末フルカラーショート漫画。歪んだ情欲の餌食となり女体のあらゆる部分を酷使されて容赦なくザーメンを注がれ続けるうちいつしか女たちも狂気にからめ取られてゆくセックス地獄絵巻を怒濤のごとくお届けの作者成年向けとしてのファーストコミックスだ。
「成年向け」とエクスキューズつきで述べたとおり、この作家はじつのところまっさらの新人ではなくすでに10年以上前から萌え4コマ誌や一般青年誌を舞台に活動を続け7冊の非エロ単行本を世に送り出してきたいっぱしのヴェテラン。そんなこの人がいきなりこの業界でもそうとうハードコアな部類である当版元の看板誌「COMIC真激」に登場したと風の噂を耳にしたときは心底ビックリしたものだ。同誌を定期購読していない自分はその評判のみを見聞し実物を拝見したことはなかったのだけれど、このたび発売されたエロ初単行本を無事入手しさっそくその真相に迫ってみるですよ。
かつては萌え4コマ漫画界の雄「まんがタイムきらら」(芳文社刊)で連載していたこともあるというのに、コミックス表題といいカヴァーイラストといい和む気ゼロのデストロイなアトモスフィアに一般誌時代からの古参ファンはおびえまくること必至。おどろおどろしい彩色の表紙を手繰り飛び出してくるモノクロ原稿はそれでも比較的キュート寄りの絵柄で日常パートなどはラヴリィな雰囲気もかもし出しはするものの、すぐさま白目剥いたり断末魔の悲鳴を発したりの殺伐としたヴィジュアルに転化するので萌えなどは期待するなかれ。収録作すべて2016-18年にかけての真激掲載分と近作ばかりゆえ作画のクオリティはきわめて安定しておりジャケ買いも安心……とはいえ拘束鼻フック腹パンと女の子にしちゃいけない行為連発の構図にグッとくる奇特な諸兄がいかほど存在するだろうか。なんにせよ版元提供の単行本情報ページおよび著者pixivアカウントの発売告知エントリから内容サンプルをおがむことができるので、まずはそれらをチェックしたのち購入するや否やを判断するのが吉。
このたびよこしまな欲望の犠牲となる女性陣は年齢の明記がないものの推定ハイティーン~20代中盤といったあたりか。描きおろしパートのJK連中を除けば巫女だのウェイトレスだのの仕事持ちや専業主婦など大人女性の存在感がきわ立つけれどルックスはみなカワイイ系で熟女感は皆無。それでいてボディの方はお歳相応のグラマラス系で、ボンキュッボンの2次元でしかあり得ない理想体型がなんとも扇情的。もっとも大半の女子はいろんな理由ですぐさまその優美な肢体がグズグズに崩れてゆく定めなのですけどね。
この作家の一般漫画しか知らない読者がもっともショックを受けるのはそのストーリー展開だろう。たしかに剣呑な雰囲気もときにただよわせたりはしたものの基本的にはコミカルかつ明朗な調子だったのが、エロ漫画界へ降り立ち今回作者がくり広げるのは問答無用の凌辱調教リョナ絨毯爆撃。それも男女問わず登場人物がみな狂気にとらわれキチガイじみた欲望の隘路へと進んで身を投じてゆくなんとも破滅的な物語ばかりを供給するのだ。愛していたはずの夫を裏切り、最愛の妹を見知らぬ者どもへゆだね、横恋慕する義姉を征服する愉悦に打ち震え、一途な想いは最悪の形で報われて……。輪姦強姦暴力傷害と法にもとる行為ばかりに手を染め阿鼻叫喚のすえ両者人格破綻へと至るバッドエンド一直線の作劇はそうとうに読み手を選ぶ。のみならずコバヤシテツヤのいちばんエグい部分は醜悪な凌辱劇の限りを尽くしたのちの未来へさらなる悲劇を仕込み、前段のオハナシで凄惨な結末を迎えたヒロインたちにつながるものにまでも因果がめぐるなんとも悪魔的な仕掛けを我々の前に開示すること。詳細についてはネタバレになりかねないので当稿ではこのようにボカしまくった記述にとどめるが、実際のところはみなさま自身の目でしかとご確認いただきたい。
必然的に濡れ場の方は祝福されるべき愛の営みなどいっさいない支配/服従の構図オンリーとなる。1本あたり20-34ページと分量に差はあるが狂気を孕んだエロシーンへの突入はことのほか早く物量の厚みは圧倒的。タイマンラヴでも多人数エロスでも女子を心身とも完全なる支配下に置き、嫌悪と拒絶に身を固くするヒロインを徹底的な暴力と性的調教により最終的にはちんこなしでは生きられない立派なメス奴隷へと仕立てあげるのだ。肉便器へおとしめられた彼女らにはさらに凄惨な運命が待ち受けていて、執拗に精を放たれ孕まされるものあり、犯し尽くされ正気を失ってうつろにあえぐものあり、手ひどく肉体を痛めつけられ子宮まで引きずり出されるものあり、間男をかばいみずから刃を受けるものあり……誰ひとり人並みの幸せを手にすることなく畜生道へと堕ちてゆく彼女らの過酷な人生の末路をせめて目をそむけることなく直視してやるのが読者のつとめ。
人を愛する気持ちはいつしか相手の生殺与奪をすべて握らんとするゆがんだ心情へと変容し、おびえる彼女に拳を叩きつけ呪詛を吐きつけながら濡れてもいない蜜壷へ欲望のまま剛直をねじこむのだ。強烈な痛みに絶叫し全身をよじらせるヒロインの四肢を拘束し喉頚を圧迫しながらなおも執拗に腰を打ちつけるうちパニックに陥った彼女の神経中枢はそれを快感と誤認しいつしか脳髄を灼く強烈な感覚に身をゆだね法悦の態で咆吼する。ついには淫語マシンガン連射し自分から膣内射精を懇願するに至ったエロメスどもの子袋めがけ最後に受胎確実の特濃ザーメンの奔流をお見舞いだ。
徹頭徹尾救いレスのカタストロフばかりをお届けのハードボイルドな凌辱調教フルコースを頭からシッポまでみっちり充填の読む凶器。ひとたびこれを手にしページを開けば君の脳髄もトールハンマーで一閃されること請け合い。あまりにもハードコアすぎる人権蹂躙地獄絵図に抜くどころではない作品もあるけれど、とことんまで読者の脳裡へ悪意の種を植えつけてゆくコバヤシテツヤのある種クールですらあるお話運びに誰しも感嘆させられるはずだ。まあたまにはガス抜き的に口当たりのよいエロスも見てみたいけど、引き続きこっちの世界でコンスタントに活躍していただきたい。このたび収録のお話たちのなかでは、主人公が内心押し殺していた兄嫁への想いをひょんな形で解放するすべを得て彼女へケダモノじみた狂愛を叩きつけるある意味での純愛ストーリー「妊活物語」前後編が登場キャラみな(表面的にはまっとうな人でさえ)クレイジーでもありお気に入りですな。
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