2018-11-24

今月のとんぬらさん。

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-武将武「ハイトクインサニティ」ワニマガジン社 ISBN:9784862695963
話○ 抜○ 消小 総合○

屋上での秘めごとを目撃した少年とそこで激しくまぐわっていた少女との奇妙な交流本編&描きおろし回想/後日談+独立短編9本。秘められた情欲をねじれた形で解放し妖しくイキ狂うドスケベガールズの痴態を殺伐とした物語に乗っけてお届けの作者最新刊は通算3冊めのコミックスだ。
日本エロ漫画界の最大手たるワニマガジン社の「COMIC快楽天」系列3誌は同じコンビニ売り物件ながらも少しずつ味つけを変えてあって、なかでももっとも穏健かつキュート志向なのが「COMIC快楽天BEAST」。しかしながらそんな同誌で唯一えげつないダークトーンのお話を描き続けているのがこの作家。もちろんほかの執筆陣もたまにNTRや強要系のを手がけることはあるのだけどいつも暗黒テイストを貫いているのはこの人くらい。だもんで自分も気力充実のときでないと相対するのには勇気が要って、一昨年末に刊行の前単行本「退廃ユーフォリア」は申しわけなくも購入をスルー。よって本稿で取りあげるのは2014年に上梓された2冊前の処女作「ハイトクシンドローム」以来およそ4年半ぶり。
ワニマガ各誌のなかでも萌え色の強い漫画家を集めているBEAST執筆陣を代表するような端整かつ洗練されたアニメ系のタッチは訴求力抜群。商業のみならず同人でも長年にわたり最前線で活動する人だけありキャッチーネスの高さは折り紙つきだ。直近数年以内のBEAST掲載分に1本のみ2012年の古い原稿が混じっているが加筆修正も施されクオリティは遜色なし。なおいつものように版元サイト内のコミックス情報ページから内容サンプルを参照できるので、実際に書店で手に取る前に購入可否検討も可能。
このたび登場する女子連中は制服ティーンズを中心に上方向数名をプラスというエロ漫画購買層の最大公約数的需要をフォローする構成。いずれも愛らしいお顔にボンキュッボンのゴックンボディが付属するというこれまた万人受けのボディデザインだ。ただしルックスはみなカワイイ系なのにほとんどのヒロインが性格的にこじらせたタイプで、ちょっとクセあるねで済むのから露骨に人格破綻者レヴェルのまでこぞって不穏な空気を充満させているのが良くも悪くも武将武キャラの特徴。このへんを紆余曲折ありつつも受容できるか、あるいはどうしても耐えられないかが評価の分かれ道。
そしてこの作家がもっとも独自性を発揮するのがそのストーリーテリングにおいて。前述したとおりBEAST誌上においてほぼ唯一の劇薬成分を担当する彼は、慎太郎シール誌物件として最低限のお約束である合意エロの体裁のみは遵守しつつも寝取りだの乱交だの逆レイプだの奸計堕ちだのギリギリまで後ろ暗いシチュを盛りこみ物語世界を邪悪なアトモスフィアで満たすのだ。とりわけすでにダークサイドに染まった女の子が無垢な友人だの後輩だのをおとしいれ自分と同じ肉欲の隘路へと引きずりこんでゆくシチュをやらせるとまことに秀逸で、すっかり変貌し欲望のとりことなった犠牲の羊を毒々しい笑みを浮かべ見つめる光景を目の当たりにして読者の背筋も凍る思い。たまには邪心なくピュアな恋愛模様も描くものの、それでさえこの作家のことだからなにかウラがあるんじゃないかとつい疑ってしまうのだ。
1本あたり18-20ページのタイトな容量で濡れ場支配率も極端に高いわけではないけれど、周到に練り上げられたお話進行によりため込んだ情念を一気に解放するエロシーンは刹那的な淫猥さを持つ。ポイント・オヴ・ノーリターンを過ぎ観念したのちはむしろ積極的に快楽に身をゆだね自分から堕落してゆくヒロインたちの陶酔しきったアクメ顔がなんとも扇情的なのだ。滑らかな肢体をさまざまな分泌物で汚され肉ヒダの奥まで蹂躙され狂ったように咆吼するさまはもはや単なる1匹のメス。
後戻りできない策略にハメられ、あるいはみずから男を誘い出し、少女たちはひとしきり肉欲の宴へおのが肢体を捧げ乱舞するのだ。たわわな肢体を白日の下さらけ出しすでに濡れそぼった秘密の花園を押し開き屹立した男根を熱烈歓迎。すっかり開き直りこみ上げる衝動に全身を打ち震わせながら法悦の体でよがりまくる痴態にいっそう興奮。うわごとのようにエロワードを乱射しながら昇りつめてゆく彼女の淫乱まんこに問答無用で特濃ザーメンを打ちこみ性の饗宴もグランドフィナーレ。
コンビニ誌で許される最大限度の暗黒へ挑戦し続けるこの作家の全力疾走をたっぷり味わえるインモラル特盛り物件。かくのごときアングラ情欲絵巻を普通に凌辱調教なんでもアリの書店売り成年誌で展開してもここまでスリリングなものにはならないはずで、このタイトロープ感覚は武将武ならではの得がたい魅力だ。まあ雑誌の性質上一部読者からの反発も多いだろうがBEAST誌面の貴重な隠し味として引き続き活躍してもらいたいもの。今回収録の物語たちのなかでは、希望に満ちた新入社員ヒロインが先輩の手引きにより歓迎会の席上で同僚一同に美味しくいただかれ「飲みニケーション」と、心を病んだ教え子を慰めるべく男性教師が身をもってご奉仕の「かぞくごっこ」が私的お気に入り。

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