2019-03-23

今月の無量大数。

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-叶竜児「魔法の時間」コアマガジン ISBN:9784866532424
話○ 抜○ 消小 総合○

高校映像部に集う男女たちが真摯な製作活動に没頭するなか激しく愛し合い性春の汗を流して……表題作長編7話&巻末おまけ4コマ+独立短編2本。まっすぐにおのれと向き合ううち抑圧されていた欲望を解放し理性の枷を外してドスケベなメスへと変貌しはしたなくイキ狂う少女たちの淫猥な行状をたっぷりとお届けの作者最新刊は通算3冊めのコミックスだ。
少々オーセンティックながら端整なタッチでもって骨格のしっかりした上質のラヴストーリーを組みあげてゆくタイプの人で、「ガッツリ抜けりゃいいんだろ!」という昨今流行りの即物的なエロとは一線を画す実力派の作家である。そう言いつつ自分は2015年発売の前単行本「処女恋しましょ」は申しわけなくも購入をスルーしており、当ブログで評価の俎上に載せるのは2012年に上梓された2冊前のデビュー作「私立純姦学園」以来とおよそ7年近くのインターヴァルが生じてしまいまことに恐縮千万。まずはさておきさっそくティッシュ片手にページを手繰っていきますよ。
てなわけで久方ぶりの再会なのだが、一般青年誌系の滑らかなヴィジュアルは昔の記憶そのまま。この業界のトレンドとは明確に路線が異なるけれどこれはこれで得がたい個性。さっそく収録作の初出を確認すると、1本のみ2011年執筆の古い原稿があるほかは冒頭表題作を含め直近数年に当社刊の「漫画ばんがいち」誌上で描かれたもの。帯に「完全新作1本を含む」とあるのはおそらく長編最終話を描きおろしということなのだと思うが、そこは明確に書き記してほしい。ともあれ新旧問わずクオリティの高さは折り紙つきでジャケ買いも安心。コア物件の常で出版社公式サイト内の著者別情報ページからサンプル画像をたっぷりおがめるので、叶竜児初挑戦の方は先にそちらのチェックをば。
このマーヴェラスなお筆先から生み出される女性陣は大半が学園舞台ということもありほぼハイティーン固定。みんな大好き童顔巨乳系の造形をベースに髪型や目尻周りの処理を細かく違えキッチリ描き分けられているのはさすがプロのお仕事。顔立ちなどは比較的カッチリした描線なのにおっぱいやお尻あたりの輪郭がやけに柔らかく少々崩れてもいて、それがむしろ読み手の興奮を効果的に励起せしめてナイス。
読み切り/長編いずれもしっとりした質感の真摯なラヴ模様を誠実につむいでゆくのがキャリア初期からの変わらぬ流儀。とはいえそんななかでも変化はあって、1冊めと比較するとおちゃらけたノリがいささか薄くなりドシリアス方向に傾いてきた感じがする。ことにタイトル・チューン「魔法の時間」は映像研究部を舞台に部員たちが最高の映像を求め奮闘するさまを多彩な群像劇として描き出しなにやらエロ漫画らしからぬきらびやかな雰囲気。濡れ場を抜きにすればアフタやゲッサンあたりで部活漫画として連載していそうな趣だ。もっとも黄色い楕円仕様であるからにはちゃんと必然性のある仕掛けが組みこまれていて、叶竜児はこの物語のなかでキャラクターたちが最適な演技や完璧な演出を会得するに至るトリガーとして「セックス」を介在させる。奥手なアクターは性の快楽を知り開眼し、地味っ娘照明担当は露出の悦びに目覚めひと皮むけ、皆を導く部長は押し殺してきた本当の気持ちを解き放ち情欲に没頭し……という具合にエロシーン突入をきちんと整合性をもって描き出しストレートな青春賛歌へと昇華してしまうのだからタダモノではない。中途でビターな展開があったり危機一髪サスペンスなどを経ながらも最終的にはさわやかな学園ストーリーとして物語は締めくくられ、読者の心にはまことに爽快な読後感が残されるのだ。
1本あたり20ページ内外の標準的な分量かつお話主導型の構成ゆえ濡れ場支配率はけっして高い部類ではないものの、以前抱いていた印象よりだいぶエロがパワーアップしていてこれはうれしい誤算。プレイそのものはなんの変哲もない1on1のタイマンエロスなのだけど、大多数が校舎内での情事とあって興奮度マシマシですよ。加えて昔より明らかに女の子のイキ顔のヴァリエイションが増え、多くのお話で膣内射精複数ラウンド制が採用されていてもはや寂寥感など皆無。日常パートの朗らかな笑顔を妖艶なメスのそれへと変貌させ男の精嚢を枯渇させようかという勢いでハードに腰を使い快楽享受に熱中する彼女らの痴態で自慰表明もはかどりまくりですね!
珠玉の作品を創るためならと全身全霊を映像に捧げる彼女らは生まれたままの姿に戻り心のしこりを解き放って圧倒的な熱狂にひたりながら自己変革にいそしむのだ。自分から目の前のイチモツにしゃぶりつきいとおしげにシャフトを舐めあげて口腔いっぱいに白濁を受け止め法悦の態。濡れそぼったままの蜜壷へいきり立つ怒張を導き粘膜どうしの真剣勝負を開始する。パンパン音を立てながら下半身を上下させトロトロのイキ顔さらしつつ体躯をよじらせるさまがたまらなく淫猥だ。未曾有の快感にはしたなく淫語まき散らしながら昇りつめてゆくヒロインのドスケベまんこめがけ2度3度4度と特濃ザーメンの奔流をプレゼント。
巧みなお話運びはそのままに実用度を飛躍的に高めたコスパ抜群の1冊。じつはこちら当初は去年秋刊行くらいでアナウンスされていたのが延びに延びようやくこの春リリースとなったのだけど、描きおろしや加筆修正の結果だとすればそれも納得だ。本拠地であったばんがいちが紙媒体/web配信ともになくなり今後の作家活動が心配だけど、引き続きどこかの雑誌でモリモリ本領発揮していただきたいもの。収録物件のなかではやはり冒頭表題作の存在感が圧倒的で、なかでもふだんは凜とした口調なのに最愛の人の前でだけメロメロに乱れ爆乳揺らしてよがりまくる本作メインヒロインにして表紙にも登場の映像研究部部長・時任魔那(ときとうまな)さんがたまらなくエロっちいですな!

3 件のコメント:

  1. こんにちは、初めてコメント書きました。
    にゅーあきばさんの記事でレビューされていた事を知り、早速拝見させて頂きました。
    とても熱いレビューを頂き、こちらこそ恐縮千万で御座います。
    今回の記事リンクを私個人HPのブログに貼らせて頂いても宜しいでしょうか?
    返信気長にお待ちしています。

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  2. >叶竜児様
    こちらこそ、非常に胸躍る傑作をありがとうございます。
    つたない文章ですが少しでもおのれの感動を広く伝えたいと必死につづらせてもらいました。
    記事リンクや引用等、ご自由にしていただいてかまいませんので
    よろしくお願いいたします。

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    1. >gosplan様
      忙しい中、返信及び使用許諾ありがとうございます。
      早速HPブログに記事リンク貼らせて頂きました。宜しくお願い致します

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