2011-01-30

今宵のオール・ロマンス事件。

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク
-鬼束直「ポルノグラフィティ」茜新社 ISBN:9784863492028
話○ 抜○ 消小 総合○

同じ誕生日と名前を共有する少女2人のヰタ・セクスアリス連作2本+従妹のJSとはじめて結ばれ本編&描きおろし後日談+短編7本(うち1本単行本内継続シリーズ)。等身大のちっちゃいっ娘たちとうれしはずかし甘々ラヴから痛く重苦しい性欲処理まで愛のシステム満漢全席を堪能できる作者第4コミックスだ。
やや小さめの瞳に貧相なボディラインのどこにでもいそうなニッポンの小中学生をリアルと萌えの絶妙なバランスのもと描き出すという基本路線に変化はないものの、前作「Lovable」から2年あまりのインターヴァルで作画/作劇含めた試行錯誤があり、今回収録分はいささかタッチのばらつきが感じられる。そのへんをはっきりした形で再確認したかったので目次に初出の明記がないのは非常に困りものなのだが、いちばん違和感を覚えた「Papiliones」連作あたりの絵がいま見るとそんなに突飛ではないので過剰な思いこみが自分にあったのかも。
おっきめの頭に華奢なトルソのくっついたロウティーン専科のおにゃのこズはルックスも性格もヴァラエティ豊かで、元気いっぱいおてんばさんから清楚なお嬢さま系、はたまたナチュラル変態っ娘までよりどりみどり。そのなかでも一般的な萌え漫画にはまず出てこないような糸目少女の登場する「close to you」には驚かされたが、そんな彼女が女子児童らしいいじらしさ/愛らしさを目いっぱい発揮するさまがやけにキュートだったりする。こういうマニアックな造形を普通にかわいく見せてしまう鬼束マジックは本当にすげえなあ。
明暗の振幅がずいぶんと大きい物語展開はロリっ娘とのらぶらぶちゅっちゅのみをお求めの人には向かないが、一読すればそんなサッカリンだけの単調な味つけよりこちらの方がずっとおこちゃまエロスの妙味を感じられるはずだ。また読者のカメラ・アイで始終進行する「girl's collection」のような実験的なお話をそ知らぬ顔で挟みこんだりと自在な筆致はますます光り、ストーリーテラーとしては完成の域。
デビュー当初はいささか淡泊な印象だったエロシーンも4冊めとなればさすがに手馴れたもの。ことに和姦ものでは日常パートからシームレスに濡れ場へと移行する間も途切れることなく会話の掛けあいが続いていて、ファミリアな雰囲気を保ったまま愛が深化していくさまをヴィヴィッドに表出させており秀逸。またその諒解があるから数少ないダーク系「ドライアウト」でのかたくなに声を上げず表情を変えまいとするヒロインの異質さが浮き彫りにされるのだ。
とまれ起伏に乏しい肢体を遠慮なくまさぐりながら性器どうしを密着させるたび快感と困惑の入り交じった顔で断続的にあえぎ声をもらす少女の痴態がじつに扇情的。行為の高まりとともに全身を打ち震わせて衝動に耐える彼女らのちびっ娘まんこにたっぷり毒液を放出だ。例によってゴム着用も数話あるが中田氏ファンダメンタリストの俺もこの人のそれは演出上欠かせぬものとして許容。
この作家が前作発表直後あたりから物語志向を明確にしていくことについて自分としてはいくらか反撥もあったのだが、直近数作では抜き度を下げずにストーリーの豊穣さも補強してとダブルバインドを上手に昇華できていると思う。まあたまには肩のこらない抜き特化物件もまた読みたいのだけれど。今回分では自分に嘘をつきながらも演じている時間だけは甘エロのごとく振る舞う「Scar tissue」とカワイイ妹がじつはドMで……の「Fiction S」で気持ちよく息子を摩擦運動。

2 件のコメント:

  1. 貧相言うな!はともかく、早速買いました。
    迷走迷走言われてたのが杞憂でよかったです。
    雑誌連載時とどう絵柄を変えたのかチェックして
    みたいですが。
    読後にチクッとくるストーリーはMが多いロリ好きに
    心地よく、単なるエロでない文学性があると思います。
    私の評価では、話か総合で◎をあげたいです。

    返信削除
  2. >匿名様
    コメントありがとうございます。
    貧相はホメ言葉!(断言)
    正直言うとLO掲載時は自分も「迷走」だと思っていたんですが、単行本でじっくり読むと腑に落ちるというか意図が明確に理解できた感じです。

    返信削除