2011-07-26

今月のレーベンスボルン計画。

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-小峯つばさ「はじめての妊娠」ティーアイネット ISBN:9784887743991
話○抜○-△ 消小 総合○

妹の親友に告白しOKをもらって有頂天の主人公だけどなにやら雲行きがおかしくて前中後編+禁断の関係に終止符を打った兄弟のそれでも変わらぬ心のつながり前中後編+独立短編2本。膣内射精した結果生じる事態ばかりをヴィヴィッドに描写し続ける唯一無二のこの作家通算8冊めにしてこの出版社からの5th。
2011年現在の基準からするとそうとう古典的なタッチはデビュー当初からそれほど変化はないが、以前はわりと受容に抵抗があったのがここまで作風がカッチリ固定しているとあまりハードルと感じなくなってきた。後述するような題材のセレクトともあわせ、このドメスティックなデザインのおなごどもこそが不可分の個性でありアイデンティティ。
この人の場合ヒロインの年齢設定にはさほど固執せず幼女から熟女までなんでもこなしてのけるが、今回はどの作品も推定ハイティーン~20代前半あたりと比較的レンジが狭め。萌え的キュートさとも劇画ティックな色艶とも縁遠いキャラメイクで派手さはないものの、セックスの対象としてはゴールデンゾーンで比較的読み手を選ばない設計だ。個人的にはもう少し下方向で固めてくれた方がよりイケナイ感が強調され好みなのだけれど。
そんな彼女らが我々にあられもない痴態をさらしてくれるわけだが、その舞台装置こそは小峯つばさの独壇場。すでに表題から明らかなようにそこでくり広げられる物語は徹底的に妊娠に特化した造りとなっている。すなわち受胎からはじまり孕んでややこを養育し臨月を迎えるまでの一連のシークエンスを必ずストーリーラインに組みこんでいるのだ。通常のエロ漫画では基本オミットされる、中田氏したのちの事象を克明に追うことに特化することでこの作家は誰にも侵されない地位を獲得したといえよう。
このようにオハナシの明暗よりはシチュを最大限に活かす演出が決め手ゆえ、和姦/凌辱のカテゴライズはあまり意味がない。ただ今作においては愛情の多寡はあれど望まれぬ交わりはなく、オチもわりとポジティヴなので(冒頭の「Obligation」のみ若干読後感が微妙だが)、一見強要系多めに見えた前作「Samen Breeder」よりは取っつきがよろしいかと。もっともそちらを含め最終的にはヒロインのお腹にはぐくまれつつある愛の証の存在を祝福し前向きな一歩を踏み出す方向でストーリーが収束するので、たとえ経過がどうであれ一読すればそこにはたしかな人間賛歌が謳われているのだと理解できるはず。
種つけに向けて一直線の濡れ場はさすがHRものの第一人者だけあり充実のひと言。きゅんきゅん締めつける内奥に思う存分子胤を叩きつける受胎前から嬰児まで孕ます勢いで産道を責めたてるボテ腹プレイに至るまで妊婦エロの一部始終を堪能できる。ただし出産そのものは今回スルーされているのでおめでたの瞬間まで息子を駆使したい貴方は要注意。そこさえ望まなければあとは思うがままにマタニティメニューを楽しめよう。幼い子宮へ分身を宿すもよし、すでにふくらんだ下腹部へジョイスティックを侵入させるもよし、噴き出す母乳をお口に含みつつこちらもホットなミルクを股間からプレゼントするのも一興だ。
かくのごとく孕ませスキーの要請に全力でお応えのパワフルなファックに好事家はむろんのこと、それほど属性のない自分もついつい内なる興奮を励起させられてしまう1冊。一部ふたなりなど私的苦手ネタがありわずかに評定をマイナスしたがほとんどの方には障害とならないはず。収録作のなかではヒロインの人徳により兄の人格がすっかり浄化されるのが印象的な「Gospel」がその少々せつない科白まわしとともに心へ刻まれた。

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