2012-01-04

今夜の自発的自閉症者。

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-堀博昭「白昼夢 -肉に堕つ-」クロエ出版 ISBN:9784903714608
話○ 抜○ 消小 総合○

とびきりかわいい同級生から告白されHまでしちゃって有頂天の非モテ主人公だけどそれは巧妙に仕組まれたワナで表題作中編4話&描きおろしプロローグ/エピローグ+はしたない性癖をさらすOLたちが職場でファック連作3本+旅行中に逃亡し主人公宅へ押しかけてきた異国の皇女さまとイチャラヴ子作り連作3本。能天気アホネタからド真っ暗シリアスまでウルトラワイドな作劇ともっちりボディをハードに使役するガチエロとのすばらしきコンビネイションが冴えわたる作者通算18冊めは黄色い楕円仕様としての第8弾。
去年12月に出たばかりのマークなし作品「迎撃商店街(1)」から1ヵ月も経たずに新刊発売と快調なペース。また成年向けコミックスとしてはおよそ10ヵ月前に出た「キス×アス」以来とこれまた短い間隔でのリリースで、複数のメディアを掛け持ちし同時進行でお仕事をこなすハードワーカーぶりが単行本刊行にも反映されている。
コンビニ誌ではときに強烈なギャグを交えたライトエロコメ主体でお送りする一方、最近とみに増えてきた18禁媒体でのそれはどちらかというと凌辱系がメイン。今作もカヴァーイラストといい表題といいいかにもダーク色を前面に押し出したレイプ大好きっ漢垂涎のできばえではあるのだけれど、中身を手繰ると単純にそれだけではない周到な仕掛けがほどこされているのだ。
この重めな表紙をめくって出てくるのはしかしラヴ満載のコミカルな連作「皇女エレナ」シリーズ。のっけから1on1のベタ甘和姦を見せつけられて一瞬とまどいを覚えることだろう。そこにただよう空気はちょうど「迎撃商店街」のような脱力系のそれ。その印象は次に登場のオムニバス「セイヘキ淑女」の1本め、凸凹カップルのほのぼの小水プレイまで持続する。ところがシリーズの2本めからは徐々に不穏な雰囲気がただよいはじめ、3本めではまごうかたなき輪姦調教へとエスカレート。かくのごとく明から暗へとグラデイションしてゆくストーリーはいよいよ本作の主要パートにしてタイトル・チューンである「白昼夢」へと至ってあたり一面暗黒に包まれる。
ここまで到達すると堀博昭はその持てる力を全開してドス黒い設定を機関銃のように斉射。のっけからネトラレやマインドコントロールなど彼が近作で得意とするネタを容赦なく叩きつけて読者の心をほの暗い嗜虐の悦びで充満せしめるのだ。この作家の描く清楚ないでたちのグラマラス・ガールがその端整な容貌をだらしなく歪め乳や尻をブリブリ振りながら下品きわまりない淫語をぶちまけるその落差がじつに淫猥でたまらない。
とあるアイテムにより精神を支配され快楽のためにはどんな浅ましい行為でも進んで実践してしまうヒロインがしとどに濡れた蜜壷を自分から押し開き屹立するシャフトへ腰を沈めてゆく本番シーンの迫力はメジャーリーグ級。頭身高めの大ぶりな肢体をしどけなくくねらせて性器結合部をゴリゴリこすりあわせるその都度陶酔しきったアヘ顔さらしハートマークを四方八方にまき散らす。上の方では随喜の涙によだれの奔流、下の方ではとめどなく流れる愛液に噴き出す小水と、全身を分泌物にまみれさせながらひたすらセックスに没頭するその痴態はすでにヒトならぬ1匹の畜生だ。その醜態を口汚くののしるたびマゾヒスティックな歓びに打ち震えさらなる責めを懇願する彼女にお仕置きの仕上げとして前にも後ろにも大量のザーメンをぶちまけ調教完了。
これら狂乱の性宴のなか同時進行する男たちの狂気/憎悪の奔流は幾重にもトゥイストをくり返しながら物語の最終パートにおいて決定的なカタストロフを迎え舞台の幕が閉じられる。徹底的に苦く救いのないそれは香港ノワールのごとき虚無感を読後もたらすことだろう。これまでも堀博昭は人間のマイナス面を浮き彫りにするようなオハナシをいろいろものしているのだが、今回はなまじ冒頭が軽妙な色合いなだけにいっそう臓腑をヘヴィに打ちのめすのだ。個人的にこの人の描くものでは前半部のようなギャグ風味のが本来好みだとはいえ、これだけ気合いの入った暗黒話を脳髄にねじこまれると降参せざるを得ない。心は陰鬱にちんこは元気にと腹いっぱいポリンキーワールドを堪能させてもらいました。

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