2012-09-10

本年度の神輿渡御。

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-大見武士「みっくすパーティ」リイド社 ISBN:9784845841707
話○ 抜△-× 消大 総合△

前の会社をクビになった主人公が再就職した旅行代理店は変態性癖者対象の刺激的すぎるツアーばかりで毎日酒池肉林表題作長編全8話。マークなし。凛とした大人女性がふと見せるカワイイ部分を描かせれば右に出るもののない作者最新刊は今年2冊めの単行本だ。
1つ前の「月刊 哀川編集長(5)」はあんまりにもロングラン連載になり感想書きはパスしたのだけれど、今回はオーソドックスな1巻完結ものなので張りきってレヴュウしまっせ。ちなみにこの出版社では以前から体験談形式の漫画をものしていたのだけれど、こちらはちょうど1年前にリリースされたこの版元からの前作「ハルコさんの新妻レシピ」に続くオリジナル第2弾となる。
親しみやすさと色っぽさをほどよくバランスさせた好感度の高いアニメ系の絵柄はもはや完成形でなにひとつケチのつけようがない。この滑らかなタッチで描かれる女性陣は本作の初出である「MEN'S GOLD」がコンビニ売りである関係上必然的に18歳以上オンリーとなるのだけれど、ことさらにアダルトっぽさを強調せず若々しく描いてくれるおかげで熟女苦手の自分でもすみやかに受容可能なのがありがたいところ。
オハナシの方はあいかわらずのベタ甘ラヴ一辺倒で、そのうえメインヒロイン・早乙女さんの造形からして「まじめでデキる人なんだけど天然でエッチにウブ」(巻末著者あとがきより)という、まるっきり哀川編集長と相似形のキャラクター。ただしストーリーテリングには今回新たな試みが導入されており、主人公・松永君に視点を固定したオール一人称で物語が進行する。要は官能小説などでよくあるようなヒロインの告白体による実録ものの逆パターンなのだが、妙にきまじめなモノローグとハチャメチャな行為内容とのギャップがきわ立ってなかなかおもしろい。
彼ら彼女らの旅行代理店が特殊な性癖の客を集めてスワッピング旅行を企画しまいど乱交をくり広げるというのが物語の基本パターン。SMやらなりきりプレイやら多種多様な趣向になかば強制的に参加させられつつもしばし没入する主人公が訥々と体験を語るのを縦軸にしながら、会社を立ち上げた張本人のくせに自分はまったくセックスに奥手な早乙女さんとの距離を徐々に縮めてゆきようやく最後結ばれるまでのスローな恋の進展を横軸で織りなすポリフォニックな構成が光る。鋼のように冷徹な早乙女さんが最後には主人公に全身をゆだねきつく抱きつきながら目いっぱい甘えまくる正調ツンデレシークエンスを心ゆくまで堪能せよ。
メインヒロインたる早乙女さんがなかなか陥落しないので濡れ場は乱交相手たる無名の女性たちとのカラミがメイン。ただどちらかというと各回の凝った仕掛けやら奇抜なシチュによる絵ヅラのおもしろさを見せることに主眼が置かれ、性行為それ自体はわりと淡泊。マークなしゆえ当然修整もきつめで摩擦運動のメインディッシュとするのには不向きだ。そうはいってもこの作家の描く妙齢のオンナたちの婀娜っぽいイキ顔は絶品であり、みずから腰を落とし男根を飲みこんではこみ上げる快感にほおを紅潮させ汗だく汁だくになりながら絶頂に達する牝どもの痴態に興奮しきり。
お話優先で抜き物件としてはやや力不足を感じるのと、基本生本番NGな設定により本当のオーラスまで中田氏解禁にならないのが膣内射精大好きっ漢たる自分的にはつらい部分。ただ大見武士の真価はちんこの活用よりは緩急自在のお話運びとオトナなのにいちいち言動がキュートすぎるヒロイン造形にあると思うので、そこを惜しみなくフィーチャーの本作は読みものとしては合格点といえよう。自慰表明のスターターとしての使用にとどめてあとは主人公カップルの甘酸っぱいイチャイチャを思う存分摂取するのが吉。

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