-美波リン「年上の肌」少年画報社 ISBN:9784785950453
話○ 抜△ 消大 総合△
親友の姉と熱愛中の主人公だけど2人の関係はギクシャクして前後編+独立短編4本+原作者/作画者個別名義作品1×2人分。マークなし。年長女性との一筋縄ではいかない愛の隘路をときに甘くときに苦くつづってみせる作者第3単行本は当レーベルからの初コミックスとなる。
原作&ネーム担当・すずきみら&ペン入れ担当・大波耀子の女性漫画家2名によるコラボレイションもドカドカ合作作品を送り出すうちすっかり板についてきた。去年出た竹書房刊の前作「夜から朝まで」は年の瀬の新刊ラッシュにまぎれるうち記事にする機会を逸してしまったので、こちらでレヴュるのは本ペンネームでの処女単行本「熱愛・生徒会!」(実業之日本社)以来。
前述のとおり分業とはいっても創作の勘所をコントロールしているのはすずきみらサイドなので、大波耀子風味は希薄になりがち。ことに最近は作画がハッキリと下描きに引きずられていてすずき色がより強くなっていると思う。大波耀子の特徴ある瞳の描き方が濡れ場パート以外で出てくることはあまりなくなってきて一抹のさびしさは否めないところ。
ともあれいかにも女性作家らしい華やかな筆致を野郎向けエロに合致させるべく適度にオタナイズした作画はここに来てほぼ完成形となった。男性側をむやみに美形化したりヒロイン造形が女性原理に寄りすぎたりとBL/TLのノリをそのまま持ちこむ作家も多いなか、この人のデチューン具合はいい塩梅で快く受容できる。
収録作はすべてコンビニ売りの「ヤングコミック」が初出なので、レギュレイションの関係から登場する女性陣はみな18歳以上。全作品が年長女子×年下男子ものとなっているのはその対策もあるだろうが、艶っぽい大人女性を得意とするこの作家ユニットの特色がいっそう引き立つ結果となった。
酸いも甘いもかみ分けた百戦錬磨レディースとのラヴ・アフェアとなれば、少年少女の甘酸っぱいイチャイチャとはまた違う複雑な味わいとなるのは必然。展開されるのは皆から祝福される恋愛だけとは限らず、秘やかに行われるものあり禁じられた関係ありのアダルト仕様だ。結果としてノーマル和姦のみならず社会規範への挑戦や刹那的なセックスも混ぜこまれるので、処女と童貞が結ばれてずっと添い遂げて……みたいな理想形の恋だけを希求する方はときおりキツいカウンターパンチを食らうかもしれない。凛としたオトナのオンナが理性の鎧で押さえつけてきた情欲の妄執をほんの一瞬だけ開放して恥も外聞もなく牝の本能をさらけ出す、そんな情景がたまらなく読み手の興奮を励起せしめる。
慎太郎シール誌物件ゆえ濡れ場占有率は高くないものの、妙齢の女性がグラマラスな完熟ボディをあらわにして乱れまくるヴィジュアルはなかなかにエロっちい。みなさん積極的に腰を振りヤングな男子の精液を存分にしぼり取るヴァンプぶりが素敵だ。バックから怒張をガンガンねじこまれ端整な表情をとろけさせて小刻みに嬌声を発しながらも彼女らは冷静に男の性衝動を制御し最大限の快楽を引き出してゆく。熟れた牝穴をキュッと締めあげながら完熟まんこの最深部で白くねばつく液体の奔流をしかと受けとめ両者ダブルノックアウト。
すずきみら/大波耀子のいずれも本来はたいそう美味そげなティーン女子を描けるだけにいまだコンビニ誌のみでの執筆にとどまっているのは残念で仕方がないのだけれど、大人の恋愛譚として非常にウェルメイドであり読みものとして高い完成度を誇る1冊。俺的にはエロカワイイ女将さんと月夜の露天風呂でしっぽりねっとり「乳白色の甘い湯女」と、懸想する義姉との禁断の契りを熱っぽく描く大波耀子単独名義「ナイショのおつかい」がとりわけお気に入り。
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