-舞原マツゲ「妄想フラグランス」芳文社 ISBN:9784832233645
話○ 抜△ 消大 総合△
一点突破の魅力で迫る女の子たちとの明るく楽しくちょっとえっちなラヴ・アフェア短編全11本。マークなし。性格設定はバラバラだけどボディはみんなむやみやたらと扇情的なヒロイン逐次投入で読者をすっかりとりこにする作者最新単行本は通算7冊めにして初のnot黄色い楕円物件だ。
クセは強いものの端整かつキャッチーなアニメ系の絵柄となかなかにハードな濡れ場とを武器に多くの商業媒体を股にかけ活躍する人。とはいえこれまではもっぱらガチ成年向けの雑誌での活動がメインで、本作のように当初からマークを附与しない前提で執筆されたものはおそらく初めてのはず。
そんなわけでエンジェル出版より去年10月発売の前単行本「JK図姦」がガッツリ例の黄色い紋所を貼りつけていたのに対してこちらは一気に販路が広がり多くの場合はコンビニでも入手可能だ。今回こちらに収録されたのは同社のライトH系テーマアンソロ「らぶチュ」およびブルーカラー親父漫画誌「週刊漫画Times」に掲載されたものだが、初出の細かい部分までは記されていないので「らぶチュ」分と「週漫」分とがハッキリわからないのは不満。このへんは資料的価値も考えてきっちり明記してもらいたかったところ。
ともあれ作者の存在は以前から知っておりながら購入はかなりブランクが空いていて、うちのサイトでレヴュるのは2008年刊の作者2冊め(前PN込みだと3冊め)「誘惑トライアングル」以来ほぼ5年ぶりという体たらく。ただ雑誌での活躍は折に触れ目にしていたのでそれほど浦島太郎感はなくすなおに作品に没入できた。
すべて一話完結形式の収録作たちは非常に多彩なヒロイン造形が特徴的。コンビニ規制の影響か女の子たちは18歳以上限定で巨乳っ娘ばかりなのだが、とにかく附与された属性がヴァラエティ豊かなのだ。先輩だの勤労女子だの貧乏っ娘だの各回変化する趣向は過去こちらで記事にした止田卓史や巴天舞の同社単行本のなかでも共通するものが多くて、それらが「らぶチュ」掲載作だったことからして本作も同誌に執筆されたものがメインなのだろう。
そうした編集部主導のテーマ指定に対し舞原マツゲもまいどひと筋縄ではいかないキャラ造形へ仕上げていて、とりわけゲームや魔法少女、ヒーロー着ぐるみといったオタテイストを加えさせるとひときわイキイキ。「らぶチュ」だけならまだしも想定読者層に50代や60代も含まれる「週漫」でもこれだけマニア色濃厚なのを載っけたのだから怖いもの知らずというかなんというか。もちろんただ題材の奇抜さに頼るのではなく、テンポのよい会話やしっかりした起承転結など漫画作品としての完成度もぬかりなく追求されているのはよいところ。
濡れ場の迫力はさすがにマークあり仕様に及ぶものではないけれど、基本的には憎からず思う男子女子が首尾よく想いを成就させるオーソドックスな和姦エロで好感度は高い。フォーリンラヴに至るまでの2人の気持ちをていねいにつむいでいく関係でファックパートは短いが、わざと大きめの乳輪をクローズアップしたド迫力バストやムチッと肉置きのよい太ももなどやらしい肢体を存分に見せつけつつガツガツ交尾するさまがたいそう淫靡だ。フィニッシュではほおを真っ赤に染め瞳をうるませながら気持ちよさそうに嬌声を発するヒロインズの子宮の奥底へ白くねばつく液体をたっぷりぶちまける。
ガチンコセックス原理主義の当ブログではこうしたライトエロはどうしても点が辛くなってしまうのだが(作者さますいません)、エキセントリックな女の子を多数くり出しつつスウィートにまとめたお話運びがナイスだ。コンビニ向けとしては冒険かなとも思えたマニアックな題材チョイスもむしろ適度な個性の演出として成功している。ちんこをハードに使役するよりは一読後ハートほっこりの癒し物件としてオススメ。収録作中では貧乏を心ゆくまでエンジョイするヒロイン・安井さんの奇抜な造形が光る「タダよりエロいものはない?」がとくにおもしろかった。
0 件のコメント:
コメントを投稿