-狩野蒼穹「お姉ちゃんはぼくにだけ淫乱」久保書店 ISBN:9784765925532
話○ 抜○-△ 消小 総合△
笑いすぎで初体験に失敗した姉は弟相手にようやく思いを遂げて本編&弟視点後日談+独立短編14本。姉弟ほのぼの近親相姦をやらせたら日本一のこの作家がこれでもかとエルダーシスター/ヤンガーブラザーのイチャラヴを大量につめこみ送り出す最新刊は通算10冊めのコミックスだ。なお単行本タイトルうしろの「淫乱」には「ビッチ」とよみがなを振ります。
他社よりリリースの前単行本「SEXしようよ!お姉ちゃん」からはおよそ1年半、久保書店物件としては2011年刊の「あねのねいろ」以来だ。ところでこの本、じつは判型がいわゆる通常の成コミサイズ(A5判)ではなくそれよりひと回り小型の、ヤンジャンだのモーニングだのの青年漫画誌の単行本と同じもの(B6判)なので、書店店頭で検索するときは要注意。どおりでなん日も探しててずっと見つけられなかったはずだよ……。
ともあれさっそくページを手繰るとのっけから見覚えのある作品が。あれっと思い巻末著者あとがきを見ると、今作は未収録原稿と既刊の再録とのミックスとのこと。全部リサイクルだと当ブログのレヴュウ対象外となってしまったところだが、以前に載せてないのがあるのならセーフとしよう。ただ初出一覧が付属しておらず未収録作品/既刊収録作品の区別ができないのはいただけない。この点については漫画家でなく編集サイドの仕事なのであまりうるさく言いたくはないけれど、これなしだと資料的価値が半減するのでひとがんばりして入れてほしかった。
掲載データがないので収録作それぞれの執筆時期も不明なのだが、太めの線で描かれるハートウォームなタッチは全体を見渡してみて極端な変化はない。ただ比較的初期のものであろう一部の作品では顔パーツの配置のバランスだとか頭身なんかが明確に異なっているので、この人もなんだかんだでずいぶん絵柄は変遷しているのだなあと感慨ひとしお。
コミックス表題でハッキリと謳うとおり、今回収録されているのはこの作家が十八番とする姉弟ものが圧倒的多数派。2本のみ存在する非血縁ものも純粋な赤の他人同士は1つだけ、片方は幼なじみの姉貴分/弟分という徹底ぶり。もっともこの人がお色気ムンムンのアダルト系お姉さんキャラを描くことは基本的になく、登場するのはミドル~ハイティーンのキュートガールばかりだ。ボディも寸胴体型でそんなに胸も出てなくてとあんまり発育がよろしくないので、セクシーダイナマイトなオネーサマを希求する向きは他を探すべし。
原稿の新旧を問わず物語はいさぎよいほどおんなじノリで、始終ボケ倒しのうっかりぼんやりお姉ちゃんをしっかり者の弟くんがときにツッコみときに優しくフォローしての姉弟夫婦漫才が延々と続く。どこまでも牧歌的でオフビートな会話のキャッチボールを見ているうちに君のささくれ立った心もいつの間にやらほっこりほわほわ。
エロシーンもこののどかなやりとりの延長線上にあるおだやかなもので、着衣H率が高いこともあり過激度はひかえめ。そこをおぎなうのがボディや服に付着した体臭へのフェティッシュなこだわりだ。靴下クンクンしたりパンツにこもった匂いを嗅いでみたりちんこまんこに鼻を近づけたり、オス/メスそれぞれから立ちのぼる臭気を目いっぱい吸いこんでは発情し興奮する彼ら彼女らの姿がえらく生々しい。
姉の肢体に付着した濃厚な匂いを感じとりながら指や舌先で女性器をこじ開けて弟ちんこをおずおずとインサート。ふだんののほほんとした表情からすっかりオンナの顔へと変貌したお姉ちゃんの艶姿に弟くんも興奮しきりだ。プニプニボディをよじらせ小刻みに嬌声を発して彼女らは快楽享受に没頭する。汗と体液にまみれつついっそう激しく性器どうしを摩擦しあい2人きつく抱きあいながら、最後は姉まんこのいちばん深い部分へ弟ザーメンをドプドプ流しこんで禁忌を打破だ。
せっかく収録本数を大幅に増やしてお得感をアピールしているのに初出の明記がないのはコレクターズ・アイテムとして大減点ではあるものの、狩野蒼穹ワールドへ入門するにはたしかに格好の1冊。頭からシッポまでのどかな愛の交歓がくり広げられるさまは股間を使役するよりむしろ心安らぐひとときを求める貴方にお勧めかも。この人の描くショートヘア女子が大好物な自分的には、既刊で見たときから唯我独尊マイペースな姉のイカレた科白まわしがツボりまくりだった巻頭短編「姉ちゃん女房」と、風邪ひきお姉ちゃんの看病がてら身体を重ねて「カゼに抱かれて」がお気に入り。
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