-望月あづみ「ラブエンカウンター」竹書房 ISBN:9784812484227
話△ 抜△ 消大 総合△
一人前の書店員目指して奮闘する主人公を先輩女性たちが優しく厳しくえっちに指導表題作前後編&描きおろし後日談+独立短編8本。マークなし。キュート&ラヴリィな巨乳っ娘どもと苦労レスで性器どうし干戈を交えドプドプ中田氏三昧のドリーミンワールが全開な作者初のライトエロ単行本は他に成年単行本&非エロ単行本と3冊まとめて発売のうちの1冊だ。
この人の作品は先日こちらで成年マークつき作品「たねつけびより。」(マックス)を俎上に載せたばかりだが、前述のとおりこの本もそのときいっしょにリリース。さらにエロ抜きの一般漫画「東京レイヴンズ RED AND WHITE」(作画のみ担当、富士見書房)もタイミングを合わせて刊行……だったのだけれど、自分の居住地ではそれぞれ流通状況の違いにより全部違う日に店頭に並んでしまいせっかくの版元の配慮が台なしに。ともあれ黄色い楕円の有無でどう変わるのかにも興味がありさっそく比較検討と洒落こむ。
作者の大まかなプロフや活動の経緯は既出の「たねつけびより。」レヴュウを参照してもらうとして、この記事では両者の類似点/相違点をそれぞれ抽出してゆきたい。まあそもそも書籍としてのサイズが違うし、なにより会計がコインですむのとお札が要るのとでけっこうな心理的障壁があったりするのけれど。
年齢や性交のシチュエイション、そして性器修整という具合に成年マークがつくのとつかないのとでは意外に大きな差異があるけれど、それをまず実感するのが本作の表紙。愛らしい萌え系のタッチはむろん共通するのだけれど、2つのコミックスを見比べると顔立ちもボディラインもこちらは明確に大人女性として描かれているのがわかる。同じく童顔巨乳のくくりなのにちょっと目や口のバランスを変え頭身をわずかにいじるだけでティーンとover18との区別がつくようになるのだ。作家によっては媒体による描き分けが不明瞭だったりもするものだが、この人はそのへんのメリハリをキッチリつけることができていてグッド。
収録全作品が慎太郎シール誌の「ナマイキッ!」を初出とするため、登場する女の子も必然的にJDや若年社会人メインと、ミドル~ハイティーン主体だった「たねつけびより。」との棲み分けがなされている。ただ俺みたく10代女子スキーには充分大人キャラに見えるが、熟女臭プンプンのアダルティな絵柄の作家に親しんでいる人だと容姿や言動など幼く感じてしまうかも。そのへんは個人の嗜好によるところ大なので、店頭見本もしくは帯裏の作中コマ抜粋を参照のうえ判断していただきたい。
もとより凌辱やNTRなど皆無のド直球な和姦ばかり描く人だが、こちらでは輪をかけてイージーラヴ志向。想定する読者の代弁者たる心優しき青年のもとになぜか女の子が初期状態からワラワラ集合していて、とくに苦労もなくファックまでこぎ着けるというご都合主義の殿堂だ。また複数のヒロインが主人公のちんこをシェアする展開も多いのだが、別に修羅場を迎えることもなくハーレムのごとく共存してしまうという夢シチュの10連コンボに感激の涙が止まりません。
エロシーンは黄色い楕円のあるなしで露骨に差のつく部分で、むっちりふよふよの美味しそうなボディはともかく、エロパーツ描写は徹底的に忌避され少しでもお宝が見えそうなアングルになると白抜き修整の嵐が待っている。そもそも竹書房のライトエロ誌では性器結合シーンそれ自体をオミットするよう指導されているようで消しの必要な場面は意外に少なかったりするのだが、じつに美味そうなぷっくりまんこ描写や派手にキメる膣内射精シーンなど望月あづみ特有の魅力を構成する要素がこれだけ削られると正直つらい。摩擦運動のメインディッシュとして援用するにはいささか心もとなく、そこに至るまでのスターター/ブースターとして景気づけに使うのが正解だろう。
そんなわけでガチンコファック原理主義者たる自分はかなり厳しめの採点をしてしまったが(作者さますいません)、不快感のないキャラ造形にほんのり上品なエロス、読者の内なる願望をスムーズに具現化する作劇に読了後の心地よい高揚感と、ライトエロ物件として必要なファクターはすべて満たされておりクライアントの要求にピッタリ寄り添った模範解答だ。特別ハードなHでなくてもいいから萌え萌えなタッチで明るくさわやかなラヴコメにいつまでも耽溺したいという君への最高の贈りものとなろう。その意味では自分以外女だらけの職場で彼女らに主人公が美味しくいただかれちゃうタイトル・チューンがこの本のコンセプトをもっとも正しく体現しておりエクセレント。
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