-花犬「妖星夢」久保書店 ISBN:9784765935487
話△ 抜△ 消小 総合△
突然脱がされ性教育の実習と称し男子生徒の前で処女喪失させられたヒロインはその後も受難続きで……連作3話+短編1本+巻末おまけイラスト。端整な描線とソリッドなカラー彩色が組みあわされた美麗なヴィジュアルが全編にわたって展開される作者4冊めのコミックスは初の総天然色仕様だ。
当ブログでは2011年2月刊の処女単行本「少女戯画」を取り上げたのだけれど、その後発売された2冊め「少女解放区」や3冊め「初めて入れる物」(こちらは前2冊の合本とのこと)はどうも食指が伸びず申しわけなくもパス。しかしながら今回は全編フルカラーとなり、またエロ漫画というよりは往年のSFものっぽいアトモスフィアただよう表紙もなかなかよろしくて久しぶりに挑戦してみた次第。
さて無事入手してページを手繰ってみると、あらなぜか作品に見覚えが。あとがきも作品解説もなにもないので手がかりはないかとググってみると、著者ブログに今作は1冊め「少女戯画」のカラー版との記述がありのけぞる。それなら最初から再録って書いてくれよ出版社! とまれ気を取りなおして確認してみると収録作品が減っていてそのぶんページも削られている。その代償としてオールカラー化がなされているわけだが、もともとカラー同人誌として販売されたものを前回は無理やりモノクロ原稿に落としこんていたわけで、このたび晴れて本来の形でお目見えとなったわけですな。
そんなわけで重複を避けるべく作品概要などは1冊め評価記事を参照していただき、今回はいくらか違う部分へフォーカシングしたい。まずいまとなってはずいぶん古典的に思える90年代~世紀変わりめ附近を想起させるその絵柄は作者サイトの直近執筆作品を見てもあまり印象が変わらず、おそらくは確信犯的に進化を止めたのだろう。ただ全盛時の竹井正樹やキャリア初期の岡崎武士にも通ずるシャープな筆致は泥くささとは無縁で、これはこれで2013年のいまでも新鮮さを保っておりグッド。
センスのよい描線に負けじとカラーCGの方もまた抑制の効いた色遣いで都会的な雰囲気。しかしながらエロ絵業界においてはゼロ年代なかばあたりからの一大イノヴェーション――石恵塗りの登場とその広範囲な伝播――によって、こうしたセル画の発展型のような彩色はもはや少数派となった感がある。技法としては精緻をきわめているのだけれども、コッテリツヤツヤの濃密な石恵塗りに慣れてしまった身にはなにやらジェット機全盛時代に往年のプロペラ機の最後の残照を目にしているかのようだ。
ストーリーテリングもまた性行為そのものにプライオリティを置かなくても許された古きよき「ロリコン漫画」の残り香を現代に伝えるもの。むろん挿入シーンが1ページでもあれば堂々とエロでございと開き直れたころよりは濡れ場にも注力しているといえるが、物語パートとエロシーンとの配分は明確に前者優勢ゆえ股間を握るにはもの足りなさを覚えるかも知れない。そうはいっても全ページに肌色が塗られたことで1冊めよりは明らかに対ちんこ攻撃力が増しており、小さめトーン線数本乗っけのゆるめの修整とも併せマーヴェラス。
ピンク色がかったお肌の色艶が素敵なロウ~ミドルティーンの滑らかな肢体が惜しみなく開かれ、いささか乱暴に蕾を開かれて身もだえする少女の痴態が勃起中枢をハードヒット。すべすべのスリットに剛直をねじこまれうっすら涙を浮かべながらもセックスの高揚に身をまかせるさまがいじらしくもエロっちい。華奢なトルソを両腕で抱えこみきつくホールドしながら最後は幼い子宮へ白くねばつく液体を注入だ。
再録のうえ収録本数が減っているのはマイナスポイントだが、それでもフルカラー作品としては比較的束の厚い方だしプライス上昇もほんのわずか(税抜¥952→税抜¥1,000)でお得感は充分。以前指摘したとおりモノクロよりカラーの方が明らかに映える絵であり、そのぶん同内容でも私的抜き度アップとあいなった。時代を超越したかのようなオーセンティックな筆致も現在ではむしろ得がたい個性であり、このまま我が道を貫いてもらいたいもの。
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