-狩野蒼穹「幼姉は雌臭い」マガジン・マガジン ISBN:9784896444339
話○ 抜○ 消小 総合○
ヒキコモリの姉に童貞奪取をたくらむ妹、さらにちんこに興味津々なその友達に囲まれ主人公は辟易中編3話&巻末ショートおまけ編+後輩たちの処女喪失を手助けする姉の手管に弟は心ならずも乗っかり昔の想い人相手に本懐を遂げ前後編+独立短編4本。うっかりお姉ちゃんとしっかり弟くんのとことんオフビートなラヴ模様を体臭まみれのなかお送りする作者最新作は通算11冊めのコミックスだ。
この人は久保書店より前単行本「お姉ちゃんはぼくにだけ淫乱」をこの8月に出したばかりなのだけれども、そちらは大半の作品が既刊収録のいわゆる再録本。よって純粋な新作としては本レーベルより昨年2月発売の「SEXしようよ!お姉ちゃん」以来となる(当時とは出版社名が変わったが体制には変化なし)。
太めの線でザックリと描かれるどこか牧歌的な味わいの絵柄はふだんでもかなりほのぼのした感触なのだが、この作家がひんぱんに用いる頭身が崩れまくったSD顔になるといっそうのどかさが増す。漫画的キュートさを前面に押し出した通常時とポップすぎて記号みたくなってるギャグ時との極端なブレはほかの誰もマネできない狩野蒼穹ならではの技だ。
ここ数年はほぼ姉弟相姦ものに芸風を固定しており、ゆえに女性陣は一部サブヒロインを除きエルダーシスター花盛り。ただ相方たる弟たちとの年齢差はせいぜい数歳で年上といってもミドル~ハイティーンの若い娘専科だ。また従来からことさらに巨乳描写をしない作家でこのたびも胸サイズはやや貧~並の現実的なそれが並ぶ。つるぺたではないにせよこんもり盛られたビッグバストなどとは無縁なのでおっぱい世人向きではないかもしれない。
しかしながら狩野蒼穹キャラの最大の魅力は乳などではなく、そのきわめて特異な造形そのもの。普通のエロ漫画家ならヒロインたるものヴィジュアル的には完全無欠でうんこもゲロもしないような女の子を描きたがるものだが、この作家はあえて彼女らに生々しい属性を割り振る。生活態度は自堕落で下世話な欲望を発散しまくり、女性の命である清潔さを保つためのメンテすらおこたりがちと、どの話をとってもいっちょまえのダメ人間が勢ぞろい。これを実写でやられるとおそらくは目もあてられぬ酸鼻な光景が展開されるのだろうが、そこを喜怒哀楽全部キュートなすばらしきキャラメイクの力でもって強引に押しきり不快感なく読ませてしまうのが狩野蒼穹マジックだ。
だらしなさ全開の姉たちをフォローする少年らはこぞってデキた弟ばかりで、始終ボケっぱなしの姉さんに対し冷静な弟くんが適宜ツッコミを入れ続ける姉妹夫婦漫才がストーリーの基本。2人して脱力ぎみの会話をくり広げつつシームレスに濡れ場へ突入し、なんとなく性器どうしをドッキングさせては前後の穴へドプドプ精液注入へといつの間にか到達しているのだから不思議だ。事後は余韻もそこそこに双方SDキャラ化してとことんアホなやりとりを交わしギャフンオチへと至る一連のシークエンスは通常型エロ漫画ではまったくたどり着けない奇妙な境地。
そんなわけでエロシーンですらコントの一環みたいなものでそれほど高密度とは言えないのだが、それでもちんこまんこの真剣バトルへ密接にフォーカシングしつつフィニッシュは断面描写も織りまぜてと、近年はずいぶん欲望喚起力がアップした。またこの作家で特徴的な体臭へのこだわりが全編を支配し、ワキやケツの匂いをかいだり蜜壷をクンカクンカする光景を大々的にフィーチャーする。彼ら彼女らが法悦の態でボディスメルに陶酔する表情を目にするとこちらもなにやら原初的な欲望が呼び覚まされるようでつい興奮してしまうのだ。
汗とおりものの匂いに満ちた姉スメルを思う存分吸いこんで弟は痛いほどペニスを屹立させる。はだけられた下腹部へシャフトをねじこむとお姉ちゃんたちまち頬を紅潮させヨダレダラダラたれ流してイキまくりだ。ティーンエイジまんこの奥底をえぐるように少年ちんこを打ちつけられて全身をビクつかせるヒロインの子宮のなかへ勢いよく白濁液が流しこまれたその刹那両者ダブルノックアウト。
成年漫画よりは実写エロメインの版元だけあってタイトルの命名センスや装幀の雰囲気などはAV風の即物的なノリなのだが、中身はいつもながらに最初から最後まで変拍子の狩野蒼穹ワールドで大いに楽しませてもらった。さすがにこれだけお付きあいすると編集サイドも芸風を把握してきたのか、帯の訴求コピーなんかは内容に則しヒロインの残念ぶりを大いにアピールしていてグッド。今後も可能な限りこのほんわかアホアホえろーすを追求していってもらいたいものだ。この人の描くショートボブっ娘が大好物の自分は、読切作品「お姉ちゃんは痛いのが好き」に登場する、作者史上でも有数に極まった腹パン志願ダメ言動お姉ちゃん(名無し?)と、こちらは姉じゃないけど前後編「眠姦クラブ」のなかで積極的に快楽をむさぼる短髪メガネ女子・田口さんの2名がお気に入り。
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