2014-08-10

今晩の当たり判定。

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-矢凪まさし「オモチャのあたし」エンジェル出版 ISBN:9784873065861
話△ 抜△ 消中-大 総合△

都会へ出てきてひとり暮らしをスタートのヒロインは初日から女装管理人に美味しくカラダを頂かれ流されるままセックス三昧表題作長編全10話。チョロすぎる女子が有無を言わさずちんこ挿れられてアンアン乱れまくるインスタント・ラヴを全編にわたり展開の作者最新刊は2014年度のファースト単行本にしてひさしぶりの成年指定コミックスだ。
前世紀から息の長い活動を続けているこの人がすっかり黄色い楕円誌では描かなくなりもっぱらコンビニエロに徹するようになったのはゼロ年代に入ってまもなくのころ。再録/再発が多くてトータルでどれくらい出てるのかは失念してしまったが、20冊以上は出ているはずのコミックスのもはや半分以上はマークなしになってしまった。前作「可愛い方でどうですか?(2)」も当然not18禁扱いなのだけれど、今作からは版元の方針によりサイズや値段はほとんど変更ないままに大人でないと買えない烙印がつけられることに(ただ、いわゆる黄色い楕円ではなくて禁止標識ライクな赤枠に黒い斜線が引かれた独自のマークが附与されている)。この人の成年単行本は2002年刊行の「ママと呼ばないで!?」以来じつに12年ぶり(奇しくも同じエンジェル出版よりのリリースだ)。以下、今回は内容もさることながら当レーベルの新しいフォーマットについても言及してゆこうと思う。
そうはいっても収録作の初出はいままでどおり慎太郎シール誌で、本作は2013-14年にかけ「アクションピザッツDX」に掲載の長尺シリーズをまるごとパッケージ。おそらく連載開始時にはこのように刊行スタイルが変更になることは織りこまれていなかったはずで、後述するがそれは作品内容からもうかがうことができる。ともあれこの作家が1冊~数冊程度の分量になる連載作品を完結させるたびコミックス化の流れはもう10年以上も恒例となっており、その意味での新鮮さはない。
最近の矢凪まさし漫画は複数の女子を登場させハーレム形態へと持っていくことが多いのだけれど、本連載は珍しくほぼ最初から最後までタイマンラヴ。終盤でわずかにサブの女性キャラも登場させるのだけれどその彼女もガチ本番までは関与せず、濡れ場を担当するのは表紙にも登場の主演女優・本山華(もとやまはな)さんただ1人。エロ漫画的お約束としておっぱい大きい男好きのするボディではあるものの、とりたてて奇抜なキャラ立てもなくどこにでもいるタイプのヒロイン造形で正直インパクトは薄い。ただ変なクセもないのでライトエロの女性主人公としてはこれでいいのかも。
第1話から最終版までそんな華のお相手を務めるのは、転がりこんだアパートの美人管理人にしてじつは女装男子のイケメンジゴロ・黒川晶(くろかわあきら)。それまで誰にもバレなかった女子メイクを初対面で見破った華を強引に犯っちゃって以後は性欲のはけ口として散々肉体をもてあそぶ……というのが物語のベースライン。そうはいってもコンビニ物件だけに凌辱色などはみじんもなく、華の方もいちおう抵抗するそぶりを見せつつもその都度情欲に流されアンアンイキまくりというイージーゴーイングな展開ゆえ心配は無用だ。その他アパートの男性入居人たちも出てくるのだが彼らはセックスにまったく係わらないので実質的には1on1の構図が最後まで堅持される。晶の女装設定はしょっぱなからほぼ無意味になるし波瀾万丈の恋のさや当てもないしで物語的コクは皆無に近いものの、これがいつものお気楽極楽矢凪まさしスタイルなのだから文句は言うまい。
掲載誌の制約によりエロシーンは少々さびしいヴォリューム。そこをカヴァーするのがこの作家の端整で都会的なタッチでものされる絶品アクメ顔だ。全般的には日常パートでのシャープな印象を保ちつつもこみ上げる快感にほおを紅潮させ瞳をうるませて涙とヨダレまみれの絶頂フェイスを恥も外聞もなく御披露目。この落差があるから長年コンビニエロ界で一定の地位を確保できているといっても過言ではないそれは本作でも存分に活かされており、華の少々だらしない系のボディが縦横無尽に乱舞するさまと併せ効果的に読み手の勃起中枢を励起せしめる。幾度となくクライマックスを迎えさせられみずからされている行為を実況しながらたっぷりザーメンを子宮に注がれ天国逝きの彼女の痴態を全面フィーチャー。
とまあいつもながらにヴェテランの技が光る軽快エロコメではあるのだけれど、マークなし物件としてならいざ知らず18禁漫画としてはちと不満の残るデキ。元来は特大白抜き処理を想定していたのだとしても、せっかくホワイト面積が減って性器結合部の視界が比較的クリアになるのに単なる棒と穴ぼこにしか見えない簡略化されたちんこまんこは興奮をだいぶスポイルしてしまう。消し基準が急変して対応しきれなかったのはわかるが、性器描写はなんといってもエロ漫画のキモなのだからそれなりに加筆してもらいたかったところ。今後の刊行予定などを見る限りエンジェル出版では小さい判型のものでもすべて成年マークをつける方針のようなので、以後の作品ではそれに見合った水準のファックと男根/女陰のリアルな造形とを期待したい。

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