-月森雅十「発情少女」久保書店 ISBN:9784765935753
話○ 抜△ 消小 総合△
一目惚れした彼のもとへ押しかけてみたらなぜか発情期のオス馬にガッツリ犯され連作2本+独立短編6本。ヒトならぬ者たちのイチモツで貫かれたり拘束されながらハメ倒されたりの特殊えっち盛りだくさんでお送りする作者最新単行本はこの名義での通算10冊めにして成年指定の9冊め、さらに当社物件としての5thコミックスだ。
いっとき単行本の刊行が途絶えた時期があったけれどその間も多種多様な媒体でコンスタントにお仕事しており、現在はそのころのストックをドカドカ放出している状態。ことに久保書店から刊行のコミックスはその華麗な遍歴を物語るかのごとくあらゆるジャンルがごった煮になっていてまことにカオスだ。本レーベルの物件としては2012年刊の「人妻のおいしい食べ方」以来となるこちらもその内容のぶっ飛びっぷりに「先生、仕事選ばなさすぎ!」と一読後うなること必至。
元来レディコミ畑を出自とするだけに昨今流行りの萌え絵とはかなり趣が異なるタッチなのだけれど、それでも男性向け仕事の際はあどけないフェイスに肉感的なボディとヒロイン造形を読者の好みそうな方向へ寄せてくるあたりさすがヴェテラン。古典的な少女漫画絵でもって妙に扇情的な女の子を産み出す微妙なミスマッチが読者の勃起中枢を効率よくドライヴせしめる。
巻末著者あとがきではなぜかボカされているけれど、公式ブログの新刊告知記事を見るに今回は一水社で2010年まで刊行されていた獣姦アンソロジー「獣 for ESSENTIAL」に執筆した作品を中心に収録の模様。同社からは以前にやはりケモノメインの単行本「放課後は獣姦」を上梓しており、そちらで収録もれしたものを集めたのだろう。その他やはり別のアンソロ本初出のものからもいくつか作品を持ってきた一種の拾遺集とみていい。それゆえ比較的最近の作品がそろった他社刊の前作「躾 -しつけ-」より絵柄のブレは多めに感じるものの、カヴァーイラストの印象を裏切るほどの差異ではないかと。
そんなわけで物語の大半は人間以外のペニスをゴリゴリねじこまれるガチ獣姦もの。うしろの方にヒューマン同士のファックを展開する作品がいくつか含まれるものの、それらも緊縛プレイだったりグロ込みだったりと真っ当なセックスではないので、オーソドックスな男子女子の交わりを希求する向きは速攻回れ右すべし。ただ意思疎通がままならぬ間柄のわりには意外にも凌辱づくしではなくそれなりにラヴ色はあり、またコミカルなのから真摯なのまで趣向も幅広くて、このあたりは長年多分野で活躍する作者の手腕が見事に発揮された形だ。
このたび人類まんこを蹂躙するのは馬や鹿など草食系からゴリラにイノシシなどゴッツいのまでワイドに展開。いずれも童顔巨乳風味のおいしそうな人間女子をムンズとつかまえバックからケダモノペニスを激しく突き入れまくっては執拗に種つけ三昧の大活躍ぶりで、不甲斐ないヒューマン♂たる俺としてはなにやらNTR感すら覚える絵ヅラに嫉妬したり勃起したりたいへんですよ。
圧倒的なオスの力で押さえつけられ衣服を破かれて前戯もなしにいきり立つ陽物を挿入されヒロイン悶絶。心の逡巡などお構いなしにひたすら激しく腰をグラインドさせ孕ませる気満々の動物ファックに彼女らもいつしか背徳的な快感に目覚め自分もケダモノじみた咆吼を発しはじめる。人間ではかなわぬほど深い場所までペニスで制圧され大量の孕み汁をドプドプぶちまけられたその刹那ファイナルアクメ。
多少逸脱した趣向はあってもとりあえず人間同士のセックスではあった既刊と比べ訴求対象がとてつもなく狭まるのはやむを得ないところ。自分もさすがに獣姦ネタだと勃ちがよくなくて実用性評価はダウンさせてしまった(作者さますいません)。しかしながらお話はなかなか読ませる部類だし、なによりこうした特殊系のエロが一ジャンルとして成立することそれ自体が日本のエロ漫画マーケットの豊穣さにもつながると思うので、今後とも機会があればまたエグいのを執筆していただきたい所存。
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