ラベル 藤丸 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 藤丸 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2019-12-30

今年度の叙勲対象。

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク
-藤丸「ユアソング」ワニマガジン社 ISBN:9784862696878
話◎ 抜○ 消小 総合○

沈みゆく世界のなかで育み慈しんできた愛は刻を経ても永遠に……連作オムニバス全11本。葛藤に悩み煩悶を抱えながらシビアな環境を生き抜く人々が愛に歓びを見いだし性の愉悦に心打ち震わせながら前を向き力強く生きてゆくさまを点描しつつ最後すべての道筋がひとつにつながる壮大なストーリーを描いてみせる作者最新刊は通算2冊めのコミックスだ。
誰もが認めるエロ漫画雑誌界の最大手にして総本山たる「COMIC快楽天」はいかにも売れ線まっしぐらのドエロい抜きツールぞろい……と思いがちなのだけど、他誌でもなかなかお目にかかれないような個性派も随時起用して懐の深いところを見せている。このたび評価の俎上に載せるこの人もエロいのはエロいけれどもなにより強烈なストーリー志向が横溢していてときにはオハナシがおもしろすぎて使いづらくなったりするくらいの独自路線だ。そんなこの人が世に放ったデビュー作たる前単行本「ラブミーテンダー」を一昨年の末に上梓してからほぼ2年経過しての2nd Editionはまたしてもとびきり凝った趣向で我々を出迎えてくれましたよ。
上品なマット仕上げの瀟洒な表紙はエロ漫画らしからぬエレガントさで、ほかの単行本とは異質すぎて逆に新刊平台での存在感抜群。いささかコッテリ感のあるカラー彩色とは異なりモノクロ原稿は少々パサついた印象だけど、端整かつムダのない描線でつむがれる一般青年誌系のタッチはさすが画力至上主義の快楽天にあっても相応の存在感を放つ。1本のみ電子配信を初出とするほかはすべて前作刊行後の快楽天掲載分でまとまった収録作たちは集中的に執筆されたこともありクオリティは高値安定。いつものようにワニ公式サイト内のコミックス情報ページからサンプル画像をおがめるので、藤丸初チャレンジの方は先にそちらのチェックをば。
おおむねハイティーン~20代前半あたりの黄金世代を描くのが十八番の作家であり、それはこの新刊でも同様。顔立ちはキュートなのにおっぱいは特盛でドドーンというみんな大好き童顔巨乳系の肢体描写をする人で、当然この俺も大好物ですよ。なお唯一存在する貧乳さん1名も物語のなかで立派に成長するのでご心配なく。それに加えやかましいのからむっつりさんまで、単純明快なのありなに考えてるのかわからないのありと多種多様なキャラメイクで単行本1冊ぶんの長丁場を飽きさせない。
藤丸漫画にあって他を圧倒し唯一無二の個性を発揮するのはなんといっても物語構築において。ことに本作は一見関連性のない読み切りたちがいつの間にか撚りあげられ最後にはすべての糸がつながってひとつの壮大なストーリーが浮かび上がるというシームレスな構成が特徴的だ。それゆえにちょっとでも深いところへ近づくと速攻でネタバレになりかねないので、この稿の説明では非常に遠回しな記述をしたり故意に肝腎な部分をすっ飛ばしたりするのであしからず(紹介スキルが足りないとも言う)。ちなみに可能であれば1冊めを引っぱり出し最後に載っている短編「8月の灯」を脇に置きながらこの新刊を読み通してほしい。なんとなれば、この単行本まるまる1冊がいわば短編1本では到底語りきれなかった部分を補完しひとくくりのストーリーとして完結させる、いわば「8月の灯」完全版だからだ。
もはや両親公認で毎日犯りまくりの高校生バカップル・ひろ(通称ひろくん)と紗和(さわ)、彼ら2人の無邪気な交合から物語はスタート。次の話ではいきなり別の幼なじみたちが、その次はまたしても違う彼氏彼女が/研究者が/人外っ娘が/スポーツ少女が……と物語はパッと見ただの読み切り連発のように思われる。しかしながら日常パートをよく読みこむとそこには共通のバックグラウンド――水位が上昇しどんどん居住地が狭まっている世界――が横たわり、しかも事態は着実に進行しているのだ。快楽天掲載時にこれら最初の数本を読んだときには「同じ世界観なのかな」と感じつつもまだそこまでの確証はなく、また本当につながりのなさそうな作品も掲載されていたので気づかなかったのだけど、終盤になるとそれら無関係に見えた話までが欠かせないピースとして綿密に関連していたのがわかり心底ビックリですよ。そして完結2つ前の「終わりの電気羊」でこれまでの伏線がすべて回収され物語の到着点が明確に示されるあたりはまさに圧巻。これら長きにわたる彼ら彼女らの物語を最後「8月の灯(了)」で藤丸は驚くような形で締めくくってみせるのだが(自分はラストを見てガルシア=マルケス「百年の孤独」をちょっと想起してしまった)、その鮮やかな手腕については実際にみなさま自身が読んでのお楽しみ。
かくも壮大な物語に対しエロシーンもけっして圧倒されっぱなしというわけではなく、1本あたり20ページ内外のそう多くない分量ながらガツガツと激しく身体を重ねるのだ。とりわけ藤丸謹製の魅惑のビッグバストがブリブリ揺れながらのガチハメナマ中田氏は壮観で、ぷっくりまんこにいきり立つ怒張を突き立て粘膜も破けようかという勢いでストロークを刻んでは幾度も子宮の奥へ特濃ザーメン放出のスペクタクルな光景を惜しみなく披露。
ゆるやかに喫水が上がり続け人の営みそのものが水没していこうとする世界のなかでも愛し合う男と女はタイトに抱き合い性器どうし激しく干戈を交えては互いの存在を確認するのだ。艶めく肢体を白日のもとさらけ出し豊かな双丘をあらわにして2人終わりなき性の饗宴に没頭。両者臆面もなくラヴワードを乱射しながらゴリゴリちんこまんこをこすり合わせ日本語にならない咆吼を発するさまが淫猥でたまらない。いよいよ感極まりイクイク連呼の彼女の子袋の許容量いっぱいに2度3度4度と白くねばつく液体をお見舞いだ。
さまざまな形で張りめぐらされたヒントの断片が最後ひとつにつながり一気に解放される物語のカタルシスを存分に味わい読後感まことに爽快。ネタバレ防止でずいぶん不親切な紹介の仕方をしたけれど、その全容を存分に味わうためにも即座に本屋へ向かい本書をレジへゴリゴリ押しつけるのを強くオススメ。なお全編読み通してもピンと来なかった方のために作者は親切にも複数の箇所でお話のアウトラインを開示しているので解読の補助にぜひ(最初に読んじゃダメよ!)。最後本当のハッピーエンドを迎えた2人に拍手するとともに、実用目的では中途のエピソード2本、「青年期の憂」の短髪巨乳水着っ娘・花代子(かよこ・通称カヨ)ちゃんと、「はるの牛飼い」に登場する名無しおっぱいちゃんでもって愚息をハードユース。

2017-12-02

本日のパーカー大佐。

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク
-藤丸「ラブミーテンダー」ワニマガジン社 ISBN:9784862695284
話◎-○ 抜○ 消小 総合○

イケメンで売れっ子なのになぜか童貞の男性アーティストと彼の世話を一手に引き受ける辣腕女性マネージャーとの身体だけの関係はいつしか本気の恋に発展連作3話&ショート総天然色プロローグ+独立短編7本+フルカラーショート1本。底抜けドタバタギャグからしっとり切ない恋物語まで卓越したストーリーテリングを堪能しつつ女子連中のあけすけな痴態をたっぷり摂取の作者これが記念すべき成年向けファーストコミックスだ。なお筆名は特段奇をてらわずに「ふじまる」と発音します。
誰もが認めるエロ漫画業界の最大手「COMIC快楽天」に集う執筆陣はむろん界隈きっての俊英ぞろいなわけだが、みな平均点が高すぎて逆に個々人の名前が脳裡へ強烈に刻まれることなく読み通してしまいがち。この人も失礼ながら最近まではそんな感じだったのだけど、後述する作品に接して思わず驚嘆しその時点から一気に同誌の私的最注目作家のひとりへ。だもんで本作発売のプレスリリースが出るとともに速攻で予約注文をすませた次第。
大まかに分類すれば普遍的なアニメ/ゲーム系の絵柄といってよいと思うが、どちらかというとエロ漫画的なそれよりもヤンマガだのヤンジャンだの一般青年誌にいそうな系統のヴィジュアルだ。むろん快楽天で描くくらいだから間違いなく筆力は高いのだけど、昨今流行りのコッテリとやりすぎなくらいに緻密なトーンワークをほどこすタイプでないので見た目ずいぶんプレーンな印象。比較的濃いめの色彩を乗っけているカラー原稿と比べ白黒のそれはとくにザックリ感が強く、ギャグパートで元がわからないくらい顔を崩すメリハリのある造形ともあいまって雑誌のなかでは若干浮いた感じだった。なお収録作の初出を見ると2009-17年の快楽天掲載分とむやみにワイドレンジであるものの、初期から早くも基本的なラインは確立しており執筆時期の新旧差は気にならない部類。先に述べたように表紙絵だけではその本質がわかりづらいので、見本を手に取れる書店へおもむくか版元提供のコミックス情報ページで内容サンプルを参照してから購入する/しないを決定するのがグッド。
この特徴的な筆致から生み出される女性陣は年のころ推定ハイティーン~20代なかば附近の黄金世代。学生から社会人にクマの中の人など多種多様な彼女らは胸部の控えめな方が若干名いるものの大半はたいそう盛りのよい双丘をお持ちで、しかも景気よく張り出した胸に対しお腰の方はキュッと極端に締まった2次元マジック体型だ。とはいえその部分以外はしっかりデッサンされた3次元寄りともいうべきプロポーションなのも近ごろのエロ漫画っぽくなくておもしろいところ。外観のみに触れたけどむしろ白眉なのはそのイキイキした女の子連中のキャラメイクであり、性癖といい行状といいどこにでも存在しそうでいてどこかタガの外れた彼女らのかもし出す特異なアトモスフィアが物語世界にさらなる深みを加える。
藤丸という作家の独自性が最大限に発揮されるのはそのストーリーテリングにおいて。総体としてはコンビニ誌掲載物件にふさわしい穏健なラヴコメの集合体なのだけども、コミカルなのも胸を打つのも、ベタ甘だったりほろ苦だったり、平凡な日常舞台からSFティックな世界まで、およそエロ漫画とは思えないワイドレンジなお話たちを怒濤のごとくくり出してくるのだ。しかも同じオハナシのなかでゲラゲラ笑ったかと思えば数ページのちには切なさに身もだえしたりと振幅の激しいストーリー進行を平気でこなすのだからすさまじい。このへんは現在の快楽天よりエロ薄めオサレ路線で売っていた10数年前の同誌を彷彿とさせるノリで、その時代の残り香がただようころにスカウトされたであろうこの人が当時の雰囲気をいまもずっと引きずり続けているとも言える。かくもヴァラエティ豊かな作品たちのなかでもそのエッセンスがもっともよく表出しているのが唯一の長尺ものである「Life is a Battlefield」/「Live is a Battlefield」/「Love is a Battlefield」連作であり、トップアーティストと彼を支える女性マネとの山あり谷ありギャグありシリアスありのドタバタながらも真摯な本格ラヴストーリーは上質の恋愛小説のごとき珠玉の逸品。その他巻末のセンティメンタルな終末世界短編「8月の灯」も後を引く読後感で、こと作劇面に関しては2017年度エロ漫画単行本のなかで自分的にいちばんの収穫。
むろんちんこの愉悦に奉仕する作品群であるからには濡れ場の方も抜かりなく、1本あたり18-20ページほどのわりかしタイトな容量ながらも業界水準以上のエロスを確保。決して奇抜なプレイやド派手な演出があるわけじゃないけれど、男子女子がしっかり互いの体躯にしがみつきガツガツむさぼるように性器どうし干戈を交えるさまが激しくもエロっちい。さして恋愛感情のない関係であっても充分な熱量だが、とりわけ想いあうカップルだとなにげない日常会話から自然な形で甘い睦言へ移行し愛する気持ちを剛速球ストレートでぶつけ合うさまが読み手に鮮烈な印象を残しザックリと心の深い部分をえぐるのだ。
ふだんはフランクな仲でもいざ裸で向かい合えばたちまち熱っぽく執拗な情交がはじまる。舌先をからめ敏感な部分を刺戟しあったのちすっかり濡れそぼった蜜壷をご開帳し屹立した陽物を粘膜のその奥までインサート。両者が発する汗と体液と吐息にまみれながら幾度となくストロークをくり返すたび彼女はハートマークをまき散らしすっかり快感のとりこだ。タイトに抱きつき全身を打ち震わせながら絶頂するヒロインの子袋いっぱいに熱いほとばしりを勢いよく叩きつけたその刹那身も心も強固に結ばれた2人は饗宴の余韻にひたり心地よい疲労感に包まれて幸福をかみしめる。
エロ漫画フリークというよりは一般を含めたラヴコメ好きに広く啓蒙したい、甘くもあり苦くもあり少しアホでもあり、でも本当に心締めつけられる至上の愛の物語たちだ。これだけ底力のある人が初単行本刊行までに異様なほど時間がかかったのはエロゲやイラスト仕事など他分野が本業だったらしいからなのだが、実際それらの媒体で積んだ経験がエロ漫画業界の枠におさまらない水際立ったストーリーテリングの源泉なのだろう。直近になり執筆頻度がぐんと上がったことから今後しばらくはこちらに注力してくれるようでまことにありがたく、可及的すみやかに2冊めリリースも期待したい。なにせほぼ同時発売の快楽天最新号ですかさず前述の今回収録短編「8月の灯」と世界観を共有する読み切り作品を掲載したくらいなのだから非常に楽しみですよ。どの作品もエッジの効いたオハナシぞろいで大いに読み大いに使わせてもらったが、なかでも先に言及した藤丸漫画開眼のきっかけでもある「~is a Battlefield」シリーズが群を抜いてすばらしく、才能豊かなくせにヘタレな芸能人・タクミくんと、サバサバ系でいてドエロくしかもここ一番ではマジ乙女な有能マネージャー・すみれさんとのスチャラカ一途な純愛物語に始終きゅんきゅんさせられっぱなし。