-矢凪まさし「お嬢様がダメなのでハメてみました」エンジェル出版 ISBN:9784873066851
話△ 抜△ 消小 総合△
迫真の性器描写を目指すエロ漫画家志望のお嬢さまはお付きメイドの手引きでモデル用の男を連れてきたもののいつの間にやらソイツの手ですっかりエロエロに開発されて表題作長編全10話。軽やかな筆致でどこか空回りするヒロインのコミカルな行状を描きつつ彼女やメイドたちの絶品イキ顔をふんだんにフィーチャーの作者最新刊は2016年に入り最初のコミックスだ。
途中に新装版等をはさんだので自分は正確な冊数を把握できなくなっているのだけれど、すでに90年代なかばにはデビューを果たしておりかなりの単行本を世に送り出している業界指折りのヴェテラン作家のひとり。ここ10数年はすっかりライトエロの人となりもっぱらマークなしの世界で活動していたのだけれど、最近になり主戦場たる「アクションピザッツ」系列の方針変更で再度黄色い楕円ワールドへ。なお直近刊行のいくつかの作品は購入をスルーしていたので、当ブログで評価の俎上に載せるのは2014年発売の小判18禁指定本「オモチャのあたし」以来。
Wikipediaの記述によれば昭和末期にはアニメーターとして活躍していたそうなので、この人の手になるムダな線のいっさいないクッキリハッキリの端整な作画にも大いに納得。すでに前世紀末からゼロ年代アタマくらいの時期でおおよそ絵柄は完成形となっていたが、昨今はそれに加え女の子の喜怒哀楽がよりヴァリエイション豊富になっていていまやこれが最大の武器だ。このあたりは露骨な性器描写ができないライトエロの規制を逆手にとって個性創出に成功した好例といえよう。
この滑らかな筆致でものされる女性陣は初出誌のレギュレイションの都合でガチ成年指定物件といえど以前の規制どおりのオール18歳以上。今回は脇キャラに1名合法ロリというかちんまい系の女子も存在するのだけれど、総体としてはおっぱい大きめキャラの主体だ。ただこの人は巨乳キャラでもそれほど極端におっぱいをふくらまさず全体のバランスを重視した肢体描写をするのでスレンダー好きにも受容しやすいかと。
キャリア初期は大上段に構えた長尺のシリアス話なども描いていたけれど、コンビニ誌に活動の拠点を移してからはもっぱらコージーなライトエロコメを量産。本作もそのラインを踏襲した明るく楽しくちょっとアホなノリに終始する。加えて男性主人公1名に数名の女子キャラを五月雨式に配するタナボタハーレムの形態を採るのも特徴で、今回だとメインヒロインに少々アホの子気配なエロ漫画家志望のお嬢さま・西園寺亜里沙(さいおんじありさ)、サブには彼女のどこかヌケた行状をキッチリとフォローする冷静沈着メイド・玲(れい)、そして1回だけの登場だが無口無表情な玲の後輩ぺたっ娘メイド・雪(ゆき)という具合。物語はなぜかエロ漫画にハマりリアリティのある男性器描写を志す亜里沙のために玲がみずからの身体をエサに犯りたい盛りの山出し大学生・雄志(ゆうじ)をちんこモデルとして差し出すところからスタート。当初とまどった雄志もすかさずスケベな本性を取り戻し言葉巧みに彼女らを操ってはいつの間にか酒池肉林の美味しい状況を作り出してゆくさまを克明にスケッチだ。真摯な愛情などほとんどなしにひたすら目の前の女の子に好き勝手なプレイをほどこす雄志の言動がいかにもゲスいのでほのぼのイチャラヴなどをお望みの方には不向きだが、彼にも特段の悪意があるわけではないしひたすらギャグテイストでお話が進行するので読後感はわりかし良好。
深窓の令嬢だけあり亜里沙との本番は終盤までお預けなので、ちんこをゴリゴリ膣内へねじこまれる場面は大半が玲のターン。そのぶん怒張を舐めさせたりオナニーを強要したりお尻を開発されたりと変態的な行為をもっぱらさせられる亜里沙もそれはそれで受難かと。しかしながら昨今の矢凪まさし漫画においては情交それ自体よりむしろその際にヒロインが見せる多種多様なイキ顔百面相の方がはるかにイキイキ。今回も亜里沙/玲/雪いずれもほおを紅潮させうっとり瞳をうるませては全身を打ち震わせ随喜の涙を流しながらはしたないアヘ顔を披露してみせる。さまざまな手管で幾度となくイカされては日本語にならない淫語まき散らしながらトロトロフェイスを見せつけ昇りつめてゆく彼女らの痴態をオカズにぼくらも気持ちよく自慰表明だ。
とまあいつもながらに軽快かつエロティックな女の子百面相を堪能させてもらったのだけれど、いまやガチ成年物件となったにしてはせっかくの性器結合描写がいかにも不足していてそのぶん採点をマイナス。黒ノリ乗っけながらビラビラを存分におがめるタイプの修整なのに局部の描きこみがものすごくあっさりしていて股間へのアピールにならないのは辛い。先日レヴュった同時発売の彩画堂はちんこまんこ付近がクリアになったことで戦闘力がアップしたけど、矢凪まさしの場合はむしろ白抜きマークなしのままでいた方が幸せだったのかも。とはいえアヘ顔百面相の素晴らしさは従来どおり折り紙つきなので、エロシーンにおいて性器描写をさほど重視しないタイプの方なら充分に戦力として働いてくれることだろう。このたび登場の3大ヒロインのなかでは主演女優格の亜里沙よりは忠実な下僕たる玲の方が断然好みで(ファックシーンも多いしね!)、彼女がふだんのクールな表情を濡れ場ではすっかりかなぐり捨ててだらしなくアヘりまくっては絶頂しまくる光景にゴチソウサマ。
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