-久遠ミチヨシ「ハンドレッドゲーム(3)」竹書房 ISBN:9784801956940
話○ 抜△ 消大 総合○
義妹の死の真相を探るつもりがだまされ利用されていたことを知り失意の主人公の前で次々に衝撃の事実が明らかとなり事態は最後のカタストロフへ向け一直線表題作長編6話(第15-20話、完結)。マークなし。遠い過去からの因縁を引きずり愛憎うず巻くエロス&サスペンスの連鎖にもようやく決着の作者最新刊はちんこ活用ツールとしての通算18冊めにして本レーベルからの第6弾コミックスだ。
ひさしぶりに黄色い楕円仕様で上梓された前単行本「絶対★は~れむ QUEENS」(エンジェル出版刊)に対し、およそ半年ぶりとなるこの新刊はずっと長い間この作家ユニットがなじんできたライトエロ単行本として世に送り出される。双葉社はガチ成年向けへシフトし少年画報社は事実上撤退してこの業態は風前の灯だが、唯一この市場でがんばっている竹書房はどこまでこの持久戦に耐え抜くのだろう。
それはさておき、当社刊の「ビタマン」誌上で最近まで続いていたこの連載作品については当ブログでも既刊レヴュウを実施しているので、基本設定やキャラクターの紹介についてはそちらへ譲りたい(評価記事:1巻/2巻)。久遠ミチヨシによる他の長編以上に周到に仕込まれた伏線をひもといてゆくには全3巻セットでの読解作業が不可欠ゆえ、この巻から本作を知った方はただちに残り2冊をさかのぼり購入のこと。
これから手にする読者へのネタバレを避けるため以後わざとボカしぎみの記述になるが、いきなり冒頭第15話から「賢しげに蠢動していたはずの伊織がじつは美空の手の平で踊らされてました!」という物語の核心となるネタが割られていてひえーってなりましたよ……と思ったらその部分はすでに公式の内容紹介で明かされていたので気が楽に。そんなわけで一転捕らわれの身となり次々に意外な真実を突きつけられて歯がみし悔し涙を流す伊織の姿が哀れを誘う。その後も事態の主導権を握るのはもはや美空側で、着々と権力を掌握し邪魔者の排除を進めてゆくのを傍観するのみ。復讐の完遂すら果たせぬままついに昏倒する伊織だが、ベッドに横たわり死を待つだけの彼を訪れ余裕の笑みを浮かべる美空に対し最後に身を賭して仕掛けたのは……とキモの描写についてはむろんここでは伏せるので、ぜひ実際に本書を手に取り久遠ミチヨシのほどこした冴えたやり方を確認されたし。すべてが収束し訪れた数年後の平穏な海辺の光景とひとりの少女の朗らかな笑顔を前にして、策略と裏切りに満ちた凄惨な物語もはるかな思い出として昇華され我々の心身にもようやく安寧がもたらされるのだ。
物語パートの消化にパワーを取られて濡れ場は割を食いがちではあるけれど、それでも1話1発の聖なる義務はきちんと果たされている。またいちばん重要な紗夜の回想エロ&花音との一夜限りのあやまちには充分な分量を確保して劇的なストーリー展開に彩りを添加。not黄色い楕円の宿痾でちんこまんこをおがむことなど望むべくもないが、その分はこの人得意の絶品美おっぱい描写ととびきり煽情的なイキ顔百面相とでカヴァーしなんとか相殺というところ。憎しみのさなかの殺伐としたファックも切なく激しく情を交わす愛の睦みも双方美味しく堪能しながらクライマックスへ向け突き進む物語にダイヴイン。
ガチハメ中田氏至上主義の当ブログにおいて精液分泌支援ツールとしては弱含みな既刊2冊はどうしても相対的に評価をひかえめにせざるを得なかったのだが(作者さまたびたびすいません)、きめ細かく張られた伏線をていねいに回収しラストへ向けてグイグイ押し進むダイナミックな作劇はさすがライトエロ界の大御所ならではの膂力であり3冊トータルで○評価。この作家にはナイスな性器&射精描写を活かすべくマークつき媒体での執筆機会を増やしてほしいのが本音だけど、クセのあるキャラクターたちが入り乱れ複雑な愛憎の糸を織りなす本作のような重厚きわまりないお話は本番最優先の本格成年向け雑誌では成立し得なかっただろう。全編にわたり物語をえっちに盛り上げてくれたヒロインズのなかでは、2巻までの私的大ヒイキである杏に加え最後ようやくひと肌脱いでちゃっかり子種ゲットの花音たんでもって気持ちよく息子をストロークした次第。
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